洋上風力の資材高騰、電力価格へ反映可能に…事業者の撤退防止に経産省が新制度
経済産業省は、再生可能エネルギー拡大の柱の一つに位置づける洋上風力発電について、資材価格の高騰を理由に事業者が撤退するのを防ぐ新たな制度を設ける。国の入札時より費用が上がれば、電力価格に反映できるようにする。2025年度の公募から適用する見通しで、事業者の収益を確保して投資しやすい環境を整え、洋上風力の拡大を図る。 【図】洋上風力と補助の仕組み
洋上風力は投資額が大きく、事業期間も長い。コスト回収の見通しが立たなければ、計画を進めにくく、欧米では撤退する企業が相次いでいる。
新制度では、国の入札で示した事業計画と比べ、資材高騰や為替の変動などで着工時のコストが増えた場合、電力の基準価格を一部引き上げ、補助金を上乗せする。上げ幅には上限を設け、物価が下落すれば基準価格も下げる。
一方、事業が遅れた場合の罰則は強化し、計画より建設が遅れれば、国に支払う保証金を現在の2倍程度に引き上げる。
政府は19年以降、一部海域を「促進区域」に指定し、入札を実施。40年までに30~45ギガ・ワットの事業策定を目指しており、長崎県や秋田県沖など原子力発電5基分の計5・1ギガ・ワット分の事業策定が進んでいる。