「歴史的な瞬間を目撃して」パリ五輪出場へ正念場のバレー日本女子、元代表の迫田さおりさんが語る福岡・最終決戦の見どころ
空白が目立つ客席、女子バレーの「現在地」
―名古屋でも開催された昨年のNLはコロナ明けで盛り上がりが期待されていた。迫田さんも久しぶりに日本代表のプレーを試合会場で見た。 「空席が目立つ客席に『あれっ、これって代表戦だよね?』と、一瞬戸惑ったのを覚えています。ある意味、女子バレーの『現在地』を知らされました」 ―新型コロナウイルス禍の影響に加え、メディアへの露出が減った現実もある。 「これまでのバレー界は恵まれていたと思います。代表戦をテレビのゴールデンタイムで取り上げていただくことも多かった。今は、それが当たり前ではなくなった。代表チームはもちろん、競技自体を知ってもらう機会も少なくなっていることを痛感しました」 ―12年ロンドン五輪で銅メダルを決めるポイントを挙げた迫田さんは、バレーの魅力を「ボールだけはでなく、心をつなぐチームスポーツ」だと表現する。 「心は…コート外のファンの方々ともつながっています。選手やスタッフは張り詰めた毎日を送っています。会場に足を運んで、一人でも多くの選手を好きになってもらえたら、私もうれしい。皆さんの応援は必ず選手の耳に届いていますから。心は通じ合います」
吉本新喜劇を観賞、生の「箱」の中でしか
―ぜひ、試合会場で生の迫力も味わってほしい。 「話はそれますが、先日大阪に行った際、初めて吉本新喜劇を観賞する機会がありました。テレビで見たことがありますし、芸人さんの名前も知っています。それでも生は違いました。私は『知っていたつもり』だったんだなと実感しました。舞台に立っている方だけでなく、お客さんも含めて一体となっていました」 ―お笑いもスポーツもライブ感こそが最高の楽しみだ。 「共通していますよね。自宅を出て会場に向かうまでの道中のわくわく感、さあ試合が始まるぞ、という高揚感…生の『箱』の中でしか感じられないものがあります。行動しただけの『充実感』を得られます。何ごともアクションを起こすって、大事だなと感じます」
西日本新聞社