「地元の名店を残したい」 閉店余儀なくされた創業149年の老舗ウナギ店を復活させたのは運送会社
テレビ愛知
三重県津市の老舗ウナギ店では、後継者がいないため閉店を余儀なくされました。そんな中、後継ぎとして名乗りをあげたのは、“運送会社の社長”。長年、地元に愛されてきた老舗ウナギ店の復活の軌跡を取材しました。
4月6日にオープンしたばかりのウナギ店「つたや」。炭火でじっくりと焼かれているのは、日本人が大好きな「ウナギ」。アツアツになったウナギを秘伝のタレにくぐらせて、再び炭火でじっくりと焼くと名物「極上丼」の完成です。外はカリッと、中はふっくらジューシー。幅広い世代に愛される人気商品です。
生まれ育った津市に恩返しがしたい
店の厨房に立つのは、オーナーの鈴木利紀也さんです。鈴木さんは営業が終わると、すぐさま店をあとにして運送会社「美鈴急送」に向かいました。運送業の傍ら、なぜうなぎ店を始めたのでしょうか。 創業149年の老舗の「つたや」ですが、四代目店主・森さんの後継者がいませんでした。このままでは地元の名店がなくなってしまう。存続の危機を迎えた「つたや」を救おうと名乗りをあげたのが、鈴木さんだったのです。 鈴木さん: 「もともと幼い頃から通っていたお店でした。津市に生まれ育ち、だんだんお店が閉まっていったんです。少しでも協力できたら、津市に対する恩返しになるのではないかと思ったんです」
「40年やってもベストじゃない」ウナギの焼き方
鈴木さんに店を託した四代目店主・森さんは、ウナギの扱いは難しいと話します。 森さん: 「ウナギの焼き方はもう一生だから。半年やったからって全然ベストにならない。僕が40年やってもベストじゃない。行きつくところがない」
40年間、ウナギと向き合ってきた森さんでさえ「ベストじゃない」と振り返る焼き方の難しさ。つたやを継いだ鈴木さんは今、その“壁”に直面していました。 鈴木さん: 「『焼かなあかん』という焦りばっかりで、火力が強すぎてしまうことがある。死んでるくせに動きよるんだわ。皮や身が動く。1匹ずつ修正しながら焼かないと、つたやさんの本来の味にはならない。こういう仕事は特に難しい」
次から次へと課題が見つかる一方、お客さんからは「皮はパリっと中はやわらかくておいしい」「ほかのウナギ屋さんにはない」とうれしい声も聞こえてきました。 鈴木さん: 「ウナギ店はまだスタートしたばかり。何かわけがあってトラックに乗れない人が出てくると思います。実際に見てきたので、そういった人たちが、ここで宅配のデリバリーをやってもらったり調理をやってもらったり。視野を広げて考えることも、企業の使命だと思っています」
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