1回戦 広陵、好機でつなぐ 八戸学院光星に2-0 スタンド最高潮 /広島
<センバツ2019> 第91回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)は大会第4日の26日、県勢の広陵が八戸学院光星(青森)と対戦。2-0で初戦を突破した。エース・河野佳投手(3年)が東北大会優勝校を3安打に抑える好投を見せ、完封。五回に主将の秋山功太郎選手(同)の二塁打を皮切りに打線がつながり、2点を挙げて勝利をつかんだ。2回戦は大会第8日の第1試合(30日午前9時開始予定)で東邦(愛知)と戦う。【隈元悠太、岩壁峻】 【熱闘センバツ全31試合の写真特集】 八戸学院光星 000000000=0 00002000×=2 広陵 0-0で迎えた五回裏。先頭バッターの秋山選手(3年)が均衡を破る好機を作る。「1打席目は三振だったので落ち込んだが、メンバーに励まされて元気をもらった」。左翼線に二塁打を放ち、塁上で笑顔を見せた。 続く河野投手(同)の犠打で1死三塁に。「ここで決めなければ」と心に誓ったという藤井孝太選手(同)が左適時打を放ち、秋山選手が生還。初得点にスタンドの盛り上がりは最高潮に。藤井選手と寮が同部屋で、野球部応援団の旗手を務める渋谷拓磨さん(同)は約30キロある校旗を思い切りよく振った。「出発前日に(ベンチ入りできなかった)俺の分も頑張ってくれると言っていた。ありがとうと伝えたい」と笑みを浮かべた。 さらに、中冨宏紀選手(同)が適時内野安打を放って2点目。プロ野球・広島東洋カープの応援歌「宮島さん」の歌詞の一部を「広陵」にアレンジした曲がスタンドを包んだ。演奏した吹奏楽部の玉田芽依さん(同)は「広島から車中泊で来たので最初は疲れていたけど、野球部が頑張っている姿を見ると疲れが吹き飛ぶよう」と元気よく語った。 その後も鉤流(つりゅう)大遂捕手(同)の巧みなリードで河野投手が変化球を織り交ぜて要所を抑え、初戦をものにした。夏の甲子園に捕手として出場したという秋山選手の父、克彦さん(53)は「初戦を突破してくれて本当に良かった。勝ち始めたら勢いに乗るのが広陵。次戦が楽しみです」と満足そうに話した。 ◇感謝を込めた完封劇 河野佳投手(3年) 「約束は守りましたよ」。試合後の控室で中井惇一副部長に満面の笑みで報告した。試合前、「完封します」と宣言しマウンドへ向かった。中井副部長は「本当にやってのけるとは思わなかった」とたたえた。 誰もが認めるエースに成長したが、1年生の冬には、不調から野手に転向した。それでも、中井副部長は投手として接してくれ、復活の道を示してくれた。センバツには感謝の気持ちを持って臨むと決めていた。 初回に自己最速を更新する150キロの速球で空振り三振を奪うと、直球と変化球を織り交ぜ、相手に的を絞らせなかった。最大のピンチは2点リードの八回。失策も絡み2死二、三塁となり、一打同点の場面を迎えた。相手は好打者の武岡龍世内野手(3年)。「大丈夫」。自らに言い聞かせ、直球勝負で遊飛に打ち取った。 完封で勝利を飾ったが、浮かれた様子はない。「目の前にあることに集中したい」。既に次戦を見据えている。【隈元悠太】 ◇えんじに染まる ○…部員約60人で構成される応援団が、えんじに染まった一塁側アルプススタンドを引き締めた。横田誠也応援団長(3年)=写真、手前右端=が中心となって約2カ月かけて習得した演技を披露。球場に向かうバスの中で、横田さんが声をかけたのは親友の藤井孝太選手だったという。「頑張ってこい」というエールに応えるように藤井選手は先制打を放ち、勝利に貢献。横田さんは「応援しながらテンションが上がった。めちゃくちゃうれしい」と笑顔を見せた。