配置薬従事者12年連続減少 富山県内375人、全国は初の1万人割れ
2023年末時点の富山県内の配置薬販売従事者数は、前年比6・9%減の375人となり、12年連続で減少したことが30日、県のまとめで分かった。全国では統計のある1965年以降、初めて1万人を割った。県くすり振興課は、ドラッグストアの増加による需要減や、従事者の高齢化が要因とみる。不適切製造問題に端を発する供給量の低下も背景にあるとみられる。 県内の従事者のうち、09年施行の改正薬事法に基づく従事者(新配置)は15人減の215人で、平均年齢は58歳。旧法に基づく従事者(既存配置)は13人減の160人で、平均年齢は68歳だった。市町村別では富山市が172人で最も多く、射水市54人、高岡市43人、滑川市39人と続いた。 県内では、業界大手の廣貫堂(富山市)と中新薬業(滑川市)が不適切製造で22年に県から行政処分を受けた。キョクトウ(富山市)は医薬品の成分分析が正しく行われていないことが発覚し、24年4月に業務停止命令を受けた。
従事者の減少幅は前年より小さくなったものの、配置薬の製造をやめたメーカーや、依然として中止している企業もあることから、関係者の間では商品の供給停滞が従事者減につながっているとの見方もある。 新田八朗知事は30日の定例記者会見で従事者減への受け止めを問われ、「時代の流れ」と語った。不適切製造が相次いだことにも触れ「お客様が望む商品を心置きなく売れる体制になるよう支援したい」とした。 全国の従事者数は8・3%減の9450人。3万人超だった03年をピークに減少し、20年間で3分の1となった。最多は前年と同じ北海道の645人、2位は愛知の455人。富山は前年と同じ5位だった。 県薬業連合会の高田吉弘専務理事は「かつては富山から全国に移り、現地で法人化した例が多かった。富山だけでなく、業界全体として厳しい状況になっている」と指摘。「法人販社で若手を採用して育てていくしかない」と話した。