「偏差値35から東大合格」は現実だ! 「ドラゴン桜2」編集担当の西岡壱誠さん、広島で実体験語る 転機となった担任の一言とは
偏差値35からの東京大学合格―。現実ではありえない話だろうか。人気漫画「ドラゴン桜2」の編集担当で、現役東京大生の西岡壱誠さん(27)の実体験だ。自らが勝手に決めていた限界を超えようと、国内最難関大に挑んだ。広島市南区の河合塾広島校で2月中旬にあった中学生親子向け講演会で、「行動すれば違う世界が見えてくる」と語った。詳しく紹介する。 【写真】「やろうと思えばどこからでも逆転できる」と会場に語り掛ける西岡さん(計5枚) ゲームばかりして、他にやる気のない子どもでした。中学2年の時、あまりに勉強しないので先生が怒って三者面談が3時間も続いたんですよ。 高校でも勉強せず、部活も3日でやめる。文化祭や体育祭に打ち込むわけでもない。そんなある日、先生に言われたんです。 「おまえさあ、このままでいいの?」。言い返しました。「いいんじゃないですか」って。努力して結果を出せるやつはいいけど、なかなかそうはいかない。頑張るってつらいじゃないですか。すると先生が言ったんです。「人間は一本の線に囲まれている」 幼い頃は、いろんな「なりたい自分」を思い描いていた。なのに成長するにつれて遠くにあったはずの「なれません」という線がどんどん近づいて、しまいには自分を取り囲んでしまう―と。「おまえはその線がすごく自分の近くにある。でもそれは自分が勝手に引いているだけの幻想だ。何でもいいから線を越えてみろ。勉強は努力が評価されやすいから、東大へ行け」。その言葉が僕に刺さったんです。 東京大受験を決意。高校2年の終わりに受けた模試では英語が3点。偏差値は35だった。 寝る間を惜しんで勉強しても現役でも1浪でも不合格。さすがに絶望的な気分でしたが、僕の受験のゴールは合格ではなく「線を越える」こと。 頭のいい友人たちに頭を下げて、どうやって勉強しているかを聞いて回る「土下座勉強法」に取り組み、挑んだ3度目の受験。緊張のあまり試験会場で吐きました。でも終了のベルが鳴るまで食らいついた。何とか合格しました。 こんな僕なので、今は誰かの背中を押したいと思っています。中学生のみんな、何かやってみよう。前に進むのが嫌だったら後ろでも横でもいい。ドラゴン桜の桜木先生も言っています。「行動するヤツだけが勝つ」。本当ですよ。 自分の母親の話をします。東京大を目指すと表明した時も何も言わず、模試の合否判定も見ようとしなかった。受験前の初詣、合格祈願をしてくれたんだろうと思ったら「祈ったのは『試験会場に無事にたどり着けますように』。そこまでは私の仕事だから」。 合格不合格は子ども自身の問題。親は挑戦をバックアップをする。この母の態度に僕はすごく救われました。痛い目を見るかもしれないし大変な思いもするかもしれない。それでも結果に拘泥せず、挑戦を笑って応援してほしいと思います。 「子どもの気持ちが勉強に向かいません。親はどうサポートすればいいですか」(保護者) お子さんが今まで出会ったことのない大人に出会える機会をたくさんつくってあげてはどうでしょう。それで子どもにスイッチが入りかけたタイミングで、「努力がかっこいい」と思える本を勧めるのもいいのでは。
中国新聞社