習近平氏が5月にセルビア訪問、中国大使館誤爆から25年の節目
(ブルームバーグ): 中国の習近平国家主席が来月、セルビアの首都ベオグラードを訪問する。準備状況に詳しい複数の関係者が明らかにしたもので、米軍が当時の在ユーゴスラビア中国大使館を誤爆してから25年目に当たる5月7日ないしはそれに近い時期に訪れる見通しだという。訪問時期がまだ公表されていないことを理由に匿名で語った。
1999年にコソボ紛争に絡み北大西洋条約機構(NATO)軍が当時ユーゴスラビアの首都だったベオグラードを爆撃した際に、中国大使館が米軍のミサイルによる攻撃を受け、中国人記者3人が死亡。米政府は地図に不備があったことによる誤爆だと主張した。この出来事は、中国国内で反米デモを引き起こし、同国政府にNATOへの不信感を抱かせる一因となった。
反米感情は中国とロシアを接近させる要因にもなった。それ以降、中ロ関係は強化され、西側諸国に警戒感が広がった。ロシアのプーチン大統領によるウクライナ侵攻で中ロ関係に厳しい目が向けられる中、米国と欧州連合(EU)は、中国政府によるロシア支援を制限するよう習氏への圧力を強めている。
中国外務省に業務時間外に習主席の欧州歴訪の詳細について問い合わせたが、すぐには返答が得られなかった。
アジア・ソサエティー政策研究所の中国分析センターで中国政治を分析しているニール・トーマス研究員は、習主席が西側諸国の対ロ制裁措置を導入していない国であるセルビアを訪問することで、同主席は「中国がロシアを支持し、連携を深めていくことを明確にするだろう」と指摘。「その密接な関係の主な役割は米国に対するバランスを取ることだ」と述べた。
一方、プーチン大統領は、5月7日に5期目に入る。旧ソ連の独裁者スターリン以来の長期政権となる。
プーチン氏が22年にウクライナ侵攻に踏み出して以来、中国政府の当局者は、ベオグラードの大使館への攻撃にたびたび公に言及。この数週間でもそれに触れている。