冬のマスク商戦に変化 ファッションとしての「だてマスク」広がる
本来とは違う機能を重視してマスクを常用している女性
冬も本番を迎え、マスク姿の人々が行き交う風景が日常的に見られるようになってきた。しかし近年、マスクをインフルエンザや風邪対策ではなく、すっぴん隠しや保湿といった本来とは違う機能のために日常的に着用する「だてマスク」の使用者が増えているという。メーカー側も消費者の需要の変化に合わせ、これまでとは違う機能を備えた「機能性マスク」を次々と発表している。
高まる「機能性マスク」需要
仙台市の大学生、村上奈月さん(22)は、夜自宅からコンビニに行くとき、毎回マスクをつける。「ファンデーションやメイクをしなくても、マスクをしたら気にならなくなるという『安心感』があります」。村上さんだけではなく、若い女性の間では、「すっぴん隠し」のための手軽な方法として、マスクを着用することが増えているという。同市の団体職員、飯島由佳子さん(24)は、喉を保湿するため、季節を問わずマスクをつけている。「人と会う時以外は、外を歩くときも夜寝る時もずっと付けています」
マスクは本来、ウイルス性飛沫感染や花粉・粉じん対策に用いる商品。「すっぴん隠し」も「保湿性」も、本来の用途としては想定されていなかった機能だ。ところが近年、このようなマスク本来の機能とは違う機能を売りにした「機能性マスク」の需要が高まっている。 富士経済が昨年発表したリポートによると、2009年に新型インフルエンザが流行しマスク需要が爆発的に高まった後、マスクを通年で使用する習慣が広まり、家庭用マスク市場は年々拡大傾向にある。特に「機能性マスク」に用いられる「不織布タイプ」マスクは、2010年から2014年にかけて市場が2・5倍に拡大した。
「小顔」「マスク美人」…ファッションとしての着用広がる
機能性を求めてマスクを日常的に使用する動きが広がるにつれ、企業側も着用したときの見た目を重視した「ファッション」としてのマスク商品の開発を始めている。 アイリスオーヤマ(仙台市)は今年9月、「だてマスク」としての使用を想定した「美フィットマスク」を発売。担当者は「マスクをすると美人に見えるという意見が以前から若者の間で言われており、より美人に見えるようにフォルムや形状にこだわった」と話す。開発責任者は女性で、マスクをつけた際に「小顔」に見えるような形状を考えたという。