大阪・鶴見緑地にパートナードッグタウン開設 ── 保護犬譲渡で命の大切さ学ぶ
保護犬と新しい飼い主の出会いの場を提供
もうひとつの試みは、ドッグラン施設と保護犬譲渡施設の統合だ。柳原理事長は「ペット人気とは裏腹に、飼い主から虐待を受けたり捨てられ、公的機関で殺処分される犬や猫が、年間18万頭におよぶ」と厳しい現実を指摘。「ペットの殺処分ゼロをめざして、保護犬と新しい飼い主の出会いの場を提供し、犬と人間が共生できる環境づくりを進めていきたい」と、長期的展望を見据えて話す。 愛犬の運動エリアは犬のサイズによって、3つのエリアに分かれている。体は立派でも他の犬と遊ぶことに慣れていない初心者の犬は、まず小型犬のエリアへ。他の犬と一緒に遊ぶ心構えの習得からスタートできるよう配慮されている。 愛犬が遊べるエリアに隣接して、常時数頭の保護犬とふれあうことのできるエリアを併設。ふれあいを通して気になる保護犬が見つかれば、スタッフの仲介で譲渡手続きを開始することができる。 営利目的ではないので、運営の継続が当面のテーマ。初年度に2000人の会員を集め、毎月10頭程度の保護犬譲渡をおおよその目安にしていく方針だ。
駆け回るワンちゃんから元気をもらう
柳原理事長は、守口市内でペット用品販売店を経営。1990年、鶴見緑地で開催された「花の万博」でも、犬にちなんだキーホルダーを販売するなど、ペット業界ひと筋に歩んできた。 「かつて野良犬が珍しくなかった時代、多くの野良犬が殺処分を受けていましたが、一方では子どもたちが、近所で拾ってきた野良犬を、苦労しながら育てることで、いのちの大切さを学ぶことができた」と振り返る。 「いまではペットショップでかわいいペットが簡単に手に入るものの、いのちの重さを理解しないまま、ペットの虐待につながるケースが後を絶たない」と指摘。「ペット業界と市民の垣根を越えて、いのちをはぐくむ大切さを伝えていきたい」と静かに意気込む。 個人からの寄付は、ペットショップに募金箱を設置して募っていく。「愛犬家の皆さんに、ペットの殺処分をなくしたいという思いを、募金箱に入れてもらえれば」と訴える。 ペットにいやされるのは飼い主だけではない。柳原理事長は「体調を崩し、心を病んで落ち込んでいる人が、駆け回るワンちゃんを見て、生きるっていいなあと感じることもある。駅前で人通りが多いので、いろいろな人たちにワンちゃんをながめてもらうだけでいい」と付け加える。 営業時間は午前11時~午後4時で休園日は毎週火曜日と金曜日。場所は鶴見緑地プール横。年末年始は29日から1月2日まで休み。くわしくは同協会の公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)