エンブラエルCEO、737MAX・A320neo市場の参入否定「実現能力は持っている」
エンブラエルのフランシスコ・ゴメス・ネトCEO(最高経営責任者)は現地時間6月18日、ボーイングやエアバスが製造する150席以上の旅客機市場への参入について、「実現できる能力は持っているが、現時点で具体的な計画はない」との考えを示した。 【写真】羽田で公開されたE195-E2の機内 ◆「能力あるが具体的計画ない」 ブラジルのエンブラエルは世界3位の航空機メーカーで、150席未満のリージョナルジェット(RJ)の最大手。737 MAXなどで常態化したボーイングの品質問題や、エアバスへのA320neoファミリーの大量発注など、特にナローボディー機(RJより大きい単通路機)の供給が世界的にタイトになる中、RJを手掛けるエンブラエルに対し、より大きな機体を開発する期待が高まり、同社が参入するとの噂も流れている。 ネトCEOは、本社のあるブラジルのサンパウロ州サン・ジョゼ・ドス・カンポスで18日から開いている報道機関向け事業説明会で「この質問は予想していた。我々は実現できる能力を持っているが、具体的な計画はない。違う答えを期待していたと思うが」と、より大型の旅客機市場への参入を否定しつつ、自社の技術力に自信を示した。 また、新型コロナに起因する世界的なサプライチェーンの混乱が尾を引いている点については「2023年には生産を13%以上増やした。今後2年間は生産量を増やし、成長を続ける予定だ」(ネトCEO)と語った。 ◆E195-E2は2倍以上納入 次世代機「E2シリーズ」は、従来のエンブラエル170(E170)とE175、E190、E195で構成する「Eジェット」(E1)の後継機で、E175-E2とE190-E2、E195-E2の3機種で構成。新型エンジンや新設計の主翼、主脚の格納した際のドアなどで、燃費を向上させた。 1クラス構成の標準座席数は、E175-E2が88-90席、E190-E2が106-114席、E195-E2が132-146席。E190-E2は2018年4月24日に就航し、E195-E2は2019年9月12日に初納入された。E175-E2はコロナの影響により計画が延期となり、2027年以降の就航を計画している。 エンブラエルが2023年通年で引き渡した民間機は64機(前年57機)。このうち従来型のE175が25機(同35機)、E190がゼロ(同3機)で、次世代機はE190-E2が1機(同1機)、E195-E2は38機(同18機)となり、E195-E2は前年の2倍以上を引き渡した。 今年3月31日現在の民間機の受注残は381機(同281機)。従来型はE175の187機(同85機)のみで、次世代機はE190-E2が15機(同7機)、E195-E2は179機(同189機)となった。
Tadayuki YOSHIKAWA