マイナス金利に惑わされるな むしろ投資リスクや手数料に注意すべし
金利が下がったから買うのではなく、よい対象があるから買う
また、住宅ローン金利が下がったからといって、すぐに不動産投資や住宅購入に飛びつくのは禁物です。不動産購入のような場合は、住むにせよ投資するにせよ、対象物件の価値を見極めることが第一で、金利というのはあくまでも購入手段に付随する条件の一つにすぎません。ここ数年の間に全体としてかなり不動産価格は上昇しています。それでも購入するのであれば、金利が下がったからということではなく、十分な収益性を生む良い物件があるからというふうに考えるべきでしょう。 ローン金利が下がったので借り換えをするというのはよいと思います。ただ、借り換えによって総合的に損得がどうなるのか? ということはしっかり考える必要があります。例えばローンの借り換えには、それに伴う手数料や保証料、登録免許税などの諸費用がかかります。払う金利が少なくなる以上に費用が増えたのでは何にもなりません。これはケースバイケースなので、よく調べてみることが大切です。借り換えた後で、思いがけない出費が発生することもあるので十分注意することが必要でしょう。 住宅購入やローンの借り換え自体が悪いというわけではありませんが、判断するに当たってはそれが本当に妥当なものなのか、それを今の時点でおこなうことが合理的なのか、といったことを考えるべきです。消費税が8%に上がった時でも買い急ぎの動きがありましたが、結局は増税後に大幅に値段の下がったものもたくさんあります。
金利差よりも投資リスクや手数料に要注意
マイナス金利の影響で金利が下がったことによる利息の減少よりも投資で損失が発生するリスク、そして新たに投資することによって発生する手数料のほうがはるかに影響は大きいのです。ほんのわずかな金利の上げ下げだけで飛びつくことはやめたほうが賢明です。 マイナス金利によって金利が多少下がったとしても、そのことによって実際の金額にどれぐらい影響があるのかを考えるべきです。前述したように定期預金の金利が0.01%下がったと言っても仮に100万円の預金額であれば減る金額は100円にしか過ぎません。投資信託の場合、100万円預けると年間の手数料は安いものでも2000円ぐらいかかります。 マイナスという言葉に惑わされ、株式投資や不動産投資にあわててお金をつぎ込むことは注意すべきです。 (経済コラムニスト・大江英樹)