明治神宮新嘗祭に鴨川の崇敬講が白酒と稲穂を奉納(千葉県)
鴨川市明治神宮崇敬講(鈴木美一講元、45人)は23日、東京・明治神宮で執り行われた新嘗祭(にいなめさい)に参列し、同市北小町の主基斎田跡で収穫した長狭米を使った白酒(しろき)と、稲穂を奉納した。白酒は、祭典で供えられ、稲穂は一年を通じて、神宮の儀式で使用されるという。 天皇が即位して初めて行う新嘗祭「大嘗祭(だいじょうさい)」では、占いで選ばれた「悠紀(ゆき)国」「主基国」に斎田を設け、そこで収穫した新穀を奉納している。 明治の大嘗祭では、北小町村(現在の鴨川市北小町)に主基斎田が設けられた。住民は、この名誉を喜びたたえ、村名を主基村に改称したほどだった。 誉れある歴史を残そうと、斎田の周辺には主基斎田址公園が整備され、1980年に旧主基村5地区(北小町、成川、南小町、上小原、下小原)の住民で、崇敬講を結成。明治神宮鎮座60年となった翌81年から毎年、新嘗祭に地元の老舗蔵元「亀田酒造」が醸造した白酒と、稲穂を奉納している。 崇敬講役員と講員、亀田酒造の亀田雄司会長の計13人が前日、白酒を詰めた9リットルの酒だる二つと、稲穂100束を神宮に持参。翌朝、JA安房の松元善一組合長らも加わり、新嘗祭に向けた神事で奉納した。その後、一行は新嘗祭に参列、厳かに執り行われる祭典を見守った。
境内には、野菜でつくられた「宝船」など、全国各地から奉納された農水産物が供えられ、JA安房も昨年に続き、長狭米コシヒカリや鴨川レンコン、トマト、ドラゴンフルーツ、トルコキキョウなど、18品の特産を展示奉納し、参拝者の目を引いていた。 直会(なおらい)では、悠紀斎田のあった山梨県甲府市の石田お俵連(梅原香会長)と美酒を酌み交わし、近況や今後の取り組みなどの話に花を咲かせた。 鈴木講元は「主基斎田に選ばれたことを誇りに、村名にまでしたのは全国で鴨川だけ。若い人を取り込み、大切な財産として伝統を継続していきたい」と話していた。 (伊丹賢)