Living in Sapporo《アメリカ人》ビーズリーさん後編 カタカナは便利
【北海道・札幌】200万人近い人口を抱える北海道の道庁所在地・札幌。「さっぽろ雪まつり」を代表とする世界規模のイベントも開催され、多くの観光客が訪れる街だ。その札幌には多くの外国人(2011年の札幌市の調査によると「札幌の外国人登録者数」は9500人強)が住んでいる。そこで、札幌で暮らす外国人に「札幌の魅力」を聴く「Living in Sapporo」の不定期連載をスタート。第4回目は、在札幌米国総領事館の広報・文化交流担当領事、ハービー・ビーズリーさんの日本語との出会いを聞いた。今回はその後編を届ける。(インタビュー・構成/橋場了吾)
アメリカで日本語に強い大学探しをスタート
初の日本滞在から帰国後、大学探しをスタートしました。本当は日本語だけを学びたかったのですが、親の手前プログラミングも学ぶことになり、ビジネスと外国語の両方に強い大学を探しました。親と一緒に全米を回って見つけたのが、インディアナ大学でした。この大学で、コンピュータ情報システムと日本語の学士を取得しました。アメリカの大学では「ダブルメジャー」といって、2~3割の学生が2専攻を同時に進んでいます。 そして、インディアナ大学を選んだ大きなもうひとつの理由は、南山大学(愛知県名古屋市)と単位互換留学制度があったことです。大学3年生の1年間は南山大学に留学し、半年くらい経った頃から日本語でのコミュニケーションを楽しめるようになりました。2回目の海外旅行も、1回目と同じく日本でした。 帰国後も日本語を使う仕事をしたかったので、キャリアフォーラム(バイリンガルのための就職フォーラム)に参加して日本企業に就職することにしました。日本では6年ちょっと仕事をして、アメリカに戻りフレッチャー法律外交大学院で勉強をしてから国務省に入省しました。
日本語の発音は「簡単」
実は大学院時代に中国にも半年間留学しました。日本語以外にも外国語を勉強したくなって、せっかく漢字の知識があったので中国語にしました。 私は、日本語の「発音」は簡単だと思います。子音が5つですし、動詞の活用もそんなにイレギュラーがないので。確かに、漢字が多く敬語・尊敬語・謙譲語は難しいのですが、ひらがなやローマ字があれば何とか読みはわかりますし、カタカナがあれば「これは外来語なんだ」ということがわかります。中国語は全部漢字ですが日本語と違い「ひとつの漢字にひとつの読み方」が基本なので、覚えてしまえば何とかなります。ただ外来語も全部漢字になるので、知らない言葉が出てくるとわからないですね。初めて「奥巴馬(欧巴馬も)※オバマ大統領の中国表記」が出てきたときは、これは何を意味しているのかちょっと考えました。 今一番行ってみたいアメリカの都市は札幌の姉妹都市・ポートランド アメリカにはいろいろな人種が住んでいるので、一概に「アメリカ人はこう考えている」ということは非常に難しいです。そこで私は、実際にアメリカに行ってアメリカ人と話すことが、アメリカへの理解が一番深まると考えて今の仕事をしています。 先日、シアトルに行く機会があったんですが、多くの友人が「今のポートランドは昔のシアトルに似ている」と言うんです。シアトルはAmazonやマイクロソフトのような巨大IT企業本の本拠地でもあるんですが、もともとはジミ・ヘンドリックスやニルヴァーナを生み出すなど文化的に優れた街で、昔のシアトルが好きだという人もたくさんいます。その街に似ていて、しかも札幌と姉妹都市ですから、今一番行ってみたいアメリカの都市はポートランドですね。 札幌へ来る前には、中国の上海、インドのチェンナイにも住んでいましたが、札幌の素晴らしいところは美味しい食事、豊かな自然、美しい太陽光、広い公園、近くにある温泉、大学が多いので若者向けのイベントが多いことなどたくさんあります。任期はあと2年ちょっとですが、ずっと日本に関わる仕事をしていきたいですね。