「神のインフルエンサー」の少年がカトリック教会の聖人に ミレニアル世代で初
トム・ガーケン、テクノロジー記者 2006年に15歳で亡くなった少年が、キリスト教カトリック教会で聖人となる見通しだ。1980年代から1990年代にかけて生まれた「ミレニアル世代」が聖人となるのは、今回が初めてとなる。 カルロ・アクティスさんはカトリック教会の教えをインターネットで広めて有名になり、「神のインフルエンサー」と呼ばれていた。 カトリック教会では、信仰に従って生きた人物を福者や聖人に列する際、その人が起こした「奇跡」が必要となる。一つ目の「奇跡」が認められると福者に、さらにもう一つの「奇跡」が認められると聖人に列せられる。 アクティスさんは2020年、膵臓(すいぞう)に先天性疾患のあるブラジル人の子供を癒(いや)したとして、すでに福者に列せられていた。 そしてローマ教皇フランシスコは今回、アクティスさんが、頭部の外傷から脳出血を起こしていたイタリア・フィレンツェの大学生を癒したことを、第二の「奇跡」と認定した。 ただし、アクティスさんがいつ列聖されるかはわかっていない。 ロンドン生まれのアクティスさんは、生涯の大半をイタリアで過ごした。白血病と診断され、イタリア北部モンツァで亡くなった。 アクティスさんの遺体は、死後1年後に中部アッシジに移され、現在、彼にまつわる他の遺物とともに展示されている。 アクティスさんは、所属していた教区や学校のウェブサイトをデザインしたほか、報告されている全ての「聖体の奇跡」の記録を目的としたウェブサイトを立ち上げて有名になった。聖体とは、キリスト教の礼拝で使用されるパンのことで、イエス・キリストの体を表している。この聖体が関連した奇跡を「聖体の奇跡」と呼ぶ。 このウェブサイトは、アクティスさんの死の数日前に公開された。また、「神のインフルエンサー」というあだ名は、アクティスさんの死後、こうした活動が知られるようになって付けられたものだ。 アクティスさんのウェブサイトは現在、数カ国語に翻訳され、世界各国を巡回する展示のもとになっている。 イギリスでも、アクティスさんはしのばれている。2020年にはバーミンガム大司教によって、ウォルヴァーハンプトンとウォンボーンの教会を組み込んだ「福者カルロ・アクティス教区」が設立された。 また、スコットランド・マザーウェルにあるカトリック教会の聖堂「カーフィン・グロット」には、まもなく聖人となるアクティスさんの像がある。 「奇跡」は多くの場合、数カ月にわたり調査され、評価される。「奇跡」とみなされるには通常、自然界で可能なことを超越した行為、たとえば死期が近いとみなされた人を癒した、といったことが必要とされる。 最近では、18世紀の修道女マリア・アントニア・デ・パス・イ・フィゲロアが列聖され、アルゼンチン初の女性聖人が誕生した。 (英語記事 Pope clears way for 'God's influencer' to become a saint)
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