阪神の大山は与えられた四番。がむしゃらに打ちにいくべきよ【岡田彰布のそらそうよ】
メンバー表にすぐ「四番」と書けるのは安心感をもらえるよ
時に追い込まれると右打ちを見せる大山やけど、四番に座ったんやから小細工せずに、気楽に打てるときは、がむしゃらに打つべきよ/写真=BBM
人数制限はあるけれど、球場にファンが戻ってきてくれた。応援の仕方も限定されているけれど、これは仕方ない。徐々にではあるけれど、プロ野球の日常が戻りつつある。でも、再び新型コロナ感染が増えていく。こんなことの繰り返しで、日々、流れていくのか。とにかく一日でも早く、満員のスタンドを見てみたいものである。 観客を最も興奮させるのは、やっぱり野球の華というべきホームランだ。それを放つ四番バッター。今の球界、二番最強打者説なんて流行もあるけど、四番は別格。オレは素直にそう思うし、四番バッターがチームの浮沈を握る存在であることは、昔も今も変わりはない。オレが阪神の監督でリーグ優勝した2005年、不動の四番がいた。そう、金本知憲である。03年まで彼は三番を任されていた。でもオレは監督になった04年から打順を変えた。先発メンバーを書き込む際、真っ先に四番のところに「金本」と記した。ほかの打順は事情によって変化はあるけど、四番だけは固定。白紙のメンバー表に最初に書くのが四番から。それがオレの日課になった。ここが決まれば、苦労は少なくなる。金本はベンチを安心させてくれる存在だったわけである。 04年の春。沖縄キャンプのスタートで、オレは金本に告げた。「全打席、ホームランを狙っていけ!」とね。これは極論やけど、四番バッターというのは、それくらいの気持ちで臨むポジションというのが、オレの持論であった。一発でチームの空気を激変させる。それを可能にするのが四番のひと振りであり、金本はそれを具現化してくれた。ホンマ、頼もしい四番バッターやったわ。 週べもつい最近、四番の特集を組んでいたが、今シーズンの球界、四番がクローズアップされている。パ・リーグの楽天・浅村(浅村栄斗)がエゲつないバッティングを続けているけど、セ・リーグでは・・・
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週刊ベースボール