競合企業と共同配送も 物流の効率化模索 トラック運転手の残業上限規制対応、北海道
4月から始まった自動車運転業の時間外労働(残業)上限規制を受け、北海道で複数の企業が荷物を共同配送する動きが出ている。面積が広大でトラック輸送の比重が高く、規制の影響をより受けやすいためだ。運転手不足が懸念される中、家電や食品メーカーが競合相手と組むなど物流の効率化を模索している。(共同通信=小川悠介) ソニーグループと日立製作所は4月から道内で量販店への家電製品の輸送を一本化した。両社の販売子会社の倉庫を統合し、物流センターへまとめて搬入。運送会社の負担軽減につなげる狙いだ。 「北海道は土地が広大で配送範囲が広いため、物流の効率改善が課題だった」と日立グローバルライフソリューションズの担当者。ノウハウを蓄積し、全国にも広げる計画という。 味の素やハウス食品、カゴメなど大手食品メーカー6社も昨年秋から、物流の連携を本格化。札幌市内の拠点に荷物を集約し、トラック1台当たりの積載率を向上。配送回数を減らし運転手不足に対応する。
バス、タクシーを含む自動車運転業は4月から残業時間の上限が年960時間に。都市間の距離が長く、雪害など自然災害リスクも高い北海道は長時間労働に陥りやすく影響が大きいとされる。 野村総合研究所の推計によると、運転手1人当たりの運行数が減る影響で、道内で2025年に荷物の約3割、2030年には約4割が予定通りに運べなくなる。 物流への危機感は幅広い業種で強まっている。イオン北海道(札幌市)や食品スーパーの北雄ラッキー(同)など14社は昨年、「北海道物流研究会」を発足。「個社では持続的な物流体制を維持するのが困難」として共同化の実験を開始した。 ただ、会社ごとに形状が異なる容器や段ボール箱を混載すると、走行時の揺れで商品が傷む恐れがあるなど現状では克服するべき課題も多い。 野村総研の小林一幸グループマネージャーは「今後は業界の垣根を越えた異業種との連携が求められる。資材だけでなく、配送時間や頻度など商慣習の統一も図るべきだ」と指摘した。