能登の地震活動「日本で観測されたことがない」いつまで続くか“見通し難しい” 地震調査委員会
政府の地震調査委員会は、能登地方の地震活動について「日本でこれまでに観測されたことがなく、今後の活動を見通すことが難しい」とし、今後も当分の間、強い揺れに注意が必要だとする異例の委員長見解を公表しました。 政府の地震調査委員会は、15日に開いた定例の会合で、去年1月1日に最大震度7を観測したマグニチュード(M)7.6の地震からおよそ1年が経過したことから、一連の地震活動について総合的に議論しました。 能登地方では、2023年5月にM6.5、2024年は元日の地震に加え、6月にM6.0、11月にM6.6など、規模の大きな地震が発生しています。 地震調査委員会の平田直委員長は15日、委員長見解を発表し、「これまでに経験したことのない事象に直面し、地震活動がいつまで続くのかなど、今後の活動を見通すことが難しい状況」だとしました。そのうえで、今後も強い揺れや津波を伴う地震に注意するよう呼びかけました。 ■地震の原因は流体? M7.6後は判断できず 能登半島では、2024年1月の地震前も、3年余りにわたって活発な群発地震が続いていました。 研究者の間では、一連の地震活動の原因として、地下深くから上昇する水のような流体の関与が指摘されていて、珠洲市周辺では大地が膨張するような地殻変動が観測されていました。 しかし、2024年1月以降は、規模の大きな地震のあとに大地がゆっくりと動き続ける余効変動の影響が大きいため、それまで続いていた珠洲市周辺での局所的な地殻変動と見分けることができず、今後の地震活動の予測を難しくしています。 ■異例の委員長見解 「情報発信する必要ある」 政府の地震調査委員会は、1か月ごとに日本周辺で発生した地震について専門家で検討し、評価文として公表しています。一方で、議論が分かれていて、評価が難しい事項については委員長見解として公表してきたケースがあり、これまでは2016年の熊本地震の後や、2011年の東北地方太平洋沖地震から10年が経過した2021年に発表されました。
平田委員長は、今回見解を公表した経緯について「一連の活動を専門家がどう考えていて、どういう可能性があるか情報発信する必要があると思った」と説明しました。 そして能登地方の被災者を念頭に「去年の1月や、おととしの5月に経験したような揺れがまた来ることを考慮して、家を建てる場合はきちんと耐震化をするとか、海岸沿いに建てるときは津波が来ないか考慮して、新しいまちづくりを始めてほしい」と述べました。
北陸放送