別海の野付半島沖でマンモスの歯の化石発見
北海道別海町の野付半島ネイチャーセンター付近の外海で、マンモスゾウの歯の化石が見つかり4日、報道陣向けに公開された。操業中の漁師が発見した。野付半島沖で見つかるのは2003年以来4個目、全国では15個目。町郷土資料館で5日から一般向けに公開される。 マンモスは長い毛の生えたゾウの仲間で体長約3㍍。約4000年前まで生息し、植物や木を食べていたとされる。北海道へはサハリンから移動してきたとみられ、北海道は生息地の南限の一つとされている。 化石が見つかったのは半島から約1㌔沖、水深約20㍍の地点。臼歯の一部で、食べ物をすりつぶす面は縦6・8㌢、横12㌢だった。 4月26日、ホタテ漁をしていた安達隼人さん(42)が、網の中に化石のような物を発見。撮影し画像検索をしたところ、マンモスの化石が該当したため、野付小学校を通じて郷土資料館に持ち込まれた。5月17日に滋賀県立琵琶湖博物館の高橋啓一名誉館長に正式な鑑定を依頼し、「マンモスゾウ右上顎第1大臼歯」と分かった。今後、年代を計測し、郷土資料館などと協力して論文の執筆を行う。 高橋氏は今回の発見の意義について、①日本では脊椎動物の化石の発見が少ないなか、新たな化石が発見されたこと②北海道はマンモス分布の南限の一つ。どのような経緯で南に移動してきたのかを知るために重要になると説明。同時に、野付半島沖で見つかった化石はいずれも似た深さから見つかっていることから、「マンモスゾウの化石が埋められている地層があることが確かめられた」と語った。 郷土資料館の石渡一人学芸員は「学芸員だけでこのような発見は難しく、住民の方の協力に頼らざるをえない。奇跡的な発見に感謝したい」と話した。
釧路新聞