野生のゴリラもインスピレーションに⁉斬新な発想力で注目を集める若手の女性建築家・山田紗子さんインタビュー
山田紗子さんが手掛けるプロジェクトは一つひとつのどれもがユニークで、着眼点の鋭さや思考の深さを感じさせます。それは、山田さんが建築設計を通じて「新しい価値観を創造する」という自問に絶えず挑戦し続けているから。 【写真集】気鋭建築家の設計フィロソフィーとは?山田紗子さん本人の自宅を例に解説 完成時から話題を呼んだご自宅「daita2019」を例にその才覚の一端をご覧いただきます。
山田紗子さんが目指すのは「新しい価値観の創造」
設計で大切にしていることは何ですか?という問いかけに、山田さんは次のように答えました。 「“新しい価値観”を見いだして、提案したいと思っています。その発想のタネは、住み手との会話や生活像からヒントを得ることが多いですが、あるいは、まったく別のところから参考にすることもあります。 例えば旅先の街や文化、自然環境、野生動物、音楽とか…。一見、脈絡のなさそうなモノゴトでも、そのエッセンスを見極めて、実際のプロジェクトに重ねてみる。 視野も想像も広げながら、一生懸命考えていると、これまでにない体感を生み出すプランに辿り着けそうな兆しが見えてくることがあるんです。 それは、家の固定観念を覆したり、暮らしの可能性を拡大するきっかけになり得るものだと思っています」 自身のフィロソフィについて、そのように語った山田さん。それでは、山田さんのいう“新しい価値観”という視点に立って、住宅実例を紹介したいと思います。
非凡さを物語る、都内に立つ自邸「daita2019」
山田さんの自邸で浮かび上がってきた設計のポイントは大きく2つです。 1つは「外部空間の考え方」。 「daita2019」は山田さん家族と両親の3世代5人が暮らす住まいです。敷地は都内の住宅街で、南西に開いた三差路の角地。長年マンション暮らしで、庭のある生活に憧れていたご一家は、この日当たりのよいオープンな立地で庭を大きく取ることを決めていたといいます。 とはいえ、立地は都内の一角。面積に余裕はないため、プランニングの要は庭を広く取りながらも、室内をいかに狭く感じさせないように工夫するかでした。そこで山田さんは、庭と家を一体的に認識できるような建築を目指したといいます。