選手は凄いのに、ブラジルからは名将が出てきにくい? セレソンを任せたい自国監督がいない原因は
独特な国内リーグの環境がもたらすもの
サッカー王国・ブラジルからは常に優秀な選手が出てくる。欧州トップクラブで活躍する者は多いが、一方でブラジル人監督はどう評価すべきだろうか。 言語の壁やコーチングライセンスの問題もあるが、欧州5大リーグで成功を収めてきたブラジル人監督は少ない。 2022年のワールドカップ・カタール大会終了後よりセレソンはレアル・マドリード指揮官カルロ・アンチェロッティの引き抜きに動いてきたが、これに失敗。現在はブラジル人監督のドリヴァウ・ジュニオールが就任しているが、欧州トップリーグで仕事をしたことがないドリヴァウを世界的名将と呼ぶべきか微妙なところもある。 『ESPN』はブラジル人監督が育ちにくい原因の1つとして、独特な国内リーグの環境を挙げる。 現在セレソンを指揮するドリヴァウは2002年より監督業をスタートさせているが、ブラジル国内リーグはとにかく監督の解任が激しい。ドリヴァウも1つのクラブで長く仕事をした経験はなく、これまで実に25回も就任と退任を繰り返している。 こうした環境のため、ブラジルのクラブを指揮する監督には短期的に結果を出すアプローチが求められる。結果が出なければすぐに解任される恐れがあるからだ。そのため、長期的な視点でチームを構築しようとしたり、最新のアイディアをチームに落とし込もうとする監督が出てこないのだ。 「守備的という意味ではないが、ブラジルの国内サッカーでは戦術的な創造性や革新性よりも現実的な選択をする監督がほとんどで、リスクを回避する傾向がある」 同メディアはこのように伝えていて、目先の結果を追い求める姿勢も名将が生まれにくい理由と考えられているようだ。 今もブラジル代表の選手たちはワールドクラスの実力者ばかりだが、ワールドカップ制覇を狙うならば優秀な指揮官が必要となる。監督をどう育てていくかも、ワールドカップ制覇への重要事項だ。
構成/ザ・ワールド編集部