中日・涌井、通算500試合登板「特別な感情はない。どうでもいいですよ」文字通り走り続けてプロ20年目の金字塔
◇14日 ロッテ3―4中日(ZOZOマリン)=延長10回 中日は14日に行われた日本生命セ・パ交流戦のロッテ戦(ZOZOマリン)に延長10回の末、4―3で競り勝った。3―3の延長10回2死二塁で中田翔内野手(35)が右中間へ決勝の適時二塁打。最後を締めたライデル・マルティネス投手(27)は5年連続20セーブとなった。先発の涌井秀章投手(37)が通算500試合登板を達成。節目の記録で彩った白星をきっかけに残り2試合も連勝し、交流戦を勝率5割で終えたい。 500試合目のマウンドに上がった。先発・涌井は6イニングを7安打2失点。プロ20年目、生まれ育った地元・千葉で通算500試合登板を達成した。「中継ぎの試合数もあるので特別な感情はない。どうでもいいですよ」。そう振り返るのがベテラン右腕らしかった。 「苦しい投球でしたが、結果的に追い越されなくてよかった」。1点リードの3回無死二塁はポランコの適時打で同点とされたが、後続は凡退。4回2死一塁では高部の二塁打で一走が一気に生還して同点。それでも続く岡を遊ゴロに仕留め、勝ち越しは許さなかった。7回に救援陣が追い付かれて勝利投手の権利は消えたものの、6年間在籍した古巣を相手に粘投した。 毎年1月の自主トレでは、沢村賞を獲得した西武時代の2009年から千葉県館山市で黙々と走り続ける。「メニューを作っている人の気分だから。憂鬱(ゆううつ)なまま、朝を迎えています」。師事しているのは西武、ロッテで主にトレーニングコーチを14年間務めた大迫幸一さん。ルーキーからの右腕を知っている。 「走る姿を見て、こいつはランニングの選手だと思いました。38歳までやってるんだもん。おかしいよ。体は自信を持っていると思う」と21日で38歳になるベテランのタフさを評価する。 メニューは多種多様で、現在も目標は1日計10キロ。「何がきついのか、どこで笑いが出るかなと考えています。態度が悪かったら怒りますよ。『走りたくなかったらいいよ』って言うけど、あいつは走るんです」と大迫さん。涌井にとっては感謝してもしきれない存在。「誰よりも考えてくれているし、それがあっての自分。信頼しかありません」。一年でも長く好きな野球ができる。右腕にとってこれほど幸せなことはない。
中日スポーツ