ベニズワイ昨季の8割 1月以降、新湊で不漁 地震の影響、湾内で顕著か
●県水産研究所 富山湾のベニズワイガニ漁の今季漁獲量は24万8899キロ(速報値)となり、例年より少なかった昨季の30万312キロの8割程度に落ち込んだことが、県水産研究所のまとめで分かった。能登半島地震後、湾内で漁をする新湊漁港の水揚げが大幅に減少した。湾外で操業する魚津、黒部漁港に大きな変化はなく、研究所は海底の地滑りなどの影響が湾内で顕著に現れている可能性があるとみて調査を進めている。 富山湾のベニズワイガニ漁は毎年9月1日に解禁され、今季は5月末で漁期を終えた。 昨年9月の水揚げ量は2万9284キロ(前年同期2万6944キロ)で幸先の良いスタートを切った。10月に新湊漁協の漁船1隻がパナマ船籍の貨物船と衝突した影響で11月に出漁できない漁船があったが、12月は水揚げ量を例年並みに戻していた。 漁師らが1月以降の豊漁に期待していた矢先、能登半島地震で発生した津波などでカニかごなどの漁具が紛失する被害が起き、漁ができない日が続いた。 ●魚津、黒部は同水準 さらに地震後は漁場で水揚げ量に大きな差が出た。水産研究所によると、富山湾北部で漁をする滑川や、湾外の新潟よりで操業する魚津、黒部が昨年と同水準の水揚げだったのに対し、湾内を漁場とする新湊は昨年を大幅に下回った。 「高志(こし)の紅(あか)ガニ」をブランド化するなどベニズワイ漁が盛んな新湊の不漁が響き、県内1~5月の水揚げ量は10万6888キロと、前年同期の14万3922キロの3分の2に落ち込んだ。 富大などでつくる研究チームが5月31日から3日間行った富山湾調査の中間報告では、ベニズワイガニは地滑りで埋もれたほか、生息環境の悪化で移動した可能性があるとした。