「愛する誰かを失っても人生を生きる」ダヴァイン・ジョイ・ランドルフが『ホールドオーバーズ』で演じた70年代
1970年代はアメリカの歴史において、非常に憂鬱な時代
ーーこの映画の設定は1970年から71年にかけての年末年始になっています。この設定についてはどう考えていますか? それほど大昔ではないけれど、すでに歴史劇的な要素もあります。 1970年代というのは、ものすごく色々なことが起きた時代です。私はこの時代をあまり大袈裟に芝居がかったものにしないように、心がけました。ただしこの映画の背景には、ベトナム戦争があります。映画の中で彼らが暮らす世界は、暗い雲に覆われていたんですね。 そして有色人種の女性として、メアリーは今の私とは違う現実を生きていました。この映画はアメリカの苦しい時を描いていて、とても悲しい側面もあります。アメリカの歴史において、非常に憂鬱な時代だったと言えますね。 ーーところで、今後の作品の予定を教えていただけますか? レベル・ウィルソンと共演したガールズ・アクション・コメディの『BRIDE HARD』が、今年全米公開されます。 ーーでは最後に日本の映画ファンに対して、一言いただけますか? まず、『ホールドオーバーズ』に興味を持ってくれることに感謝を伝えたいです。ぜひ観ていただいて、気に入ってもらえることを祈っています。私たちのカルチャーは違うかもしれないけれど、この映画には日本の人も共感できる部分があると信じています。この映画には、人間の善の部分が感じられ、そして愛すべき人物たちが出てきます。ぜひ楽しんでください。 DA’VINE JOY RANDOLPH(ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ) 1986年生まれ。 本作で、第96回アカデミー賞、第81回ゴールデングローブ賞、第77回英国アカデミー賞をはじめとする世界各国の映画賞で助演女優賞をほぼ独占。イェール大学大学院で演技を学ぶ。2019年、『ルディ・レイ・ムーア』でエディ・マーフィの相手役レディ・リード役で注目を集めた。他に「マーダーズ・イン・ビルディング」(21)「THE IDOL/ジ・アイドル」(23)、『ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男』(23)などに出演。声楽も学んでおり、ブロードウェイ・デビュー作「ゴースト」(12)ではトニー賞ミュージカル助演女優賞にノミネートされた。
石津 文子