94歳の現代美術作家、幾何学文様の美 越前市の丹南アートフェスで特別展
第31回国際丹南アートフェスティバル2024(福井新聞社後援)の特別展として、総監督を務める福井県越前市の現代美術作家、八田豊さん(94)の個展「八田豊展 現代美術-素材と表現」が28日、同市の道の駅越前たけふで始まった。幾何学文様が美しく線刻されたカービング作品や、視力を失いながらも触覚や聴覚を研ぎ澄ませて生み出した作品など計11点が並んでいる。8月4日まで。 1960~70年代のカービング作品は、パルプボードやアルミ板にたがねを使った手作りの道具で無数の線を刻んだ。デコラ板を用いた作品は、白く削られた円が幾重にも重なり合い、波打つように見える。 制作で目を酷使して視力を失った後、90年代に手がけた「流れより」シリーズは、絵の具がキャンバスをしたたる音を頼りに描かれている。和紙原料のコウゾの樹皮を指先で確かめながら画面に貼り付けたシリーズ「流れ」も並ぶ。八田さんは「絵の具は筆に付けるだけでなく、溶かして流しても、ものを言ってくれる。素材を丁寧に扱うのが大事」と語る。 同アートフェスの本展は3、4の両日、サンドーム福井で開催。国内外の作家が丹南地域の伝統産業にまつわる素材を使った作品を展示する。