国民スポーツ大会見直し論 開催に向け準備が進む自治体でも拡大 財政・運営面で自治体が負担感訴え
冬季大会を多く開催 2028年「信州やまなみ国スポ」控える長野県
全国の知事らが財政負担や運営の在り方に相次ぎ言及している国民スポーツ大会(旧国民体育大会)を巡り、2028年の信州やまなみ国スポを準備する県内でも見直しへの期待感が強いことが14日、競技開催自治体への信濃毎日新聞の取材で分かった。厳しい財政状況やマンパワーの不足を背景に、複数の自治体が持続可能な「国スポ像」の具体化を要請する一方、多くが28年に向けては大きな変更なく準備を進める―と説明。国スポを競技力向上に不可欠な機会と位置付けてきた団体は「廃止論」まで飛び出す現状に身構える。 【写真】国スポに向け飯山市が改修を検討しているジャンプ台「飯山シャンツェ」 見直し議論のきっかけは、全国知事会長の村井嘉浩・宮城県知事の発言だ。4月8日、「廃止も一つの考え方だ」と言及すると他の知事も持論を展開。数百億円ともされる開催経費が主な論点となり、各競技の実施時期を1年の間に分散し選手の輸送・宿泊負担を減らす通年開催など改革に向けた提案が相次いだ。 長野県の阿部守一知事も同19日の会見で信州やまなみ国スポの成功に向け取り組むとしつつ、都道府県の持ち回り開催が近く3巡目に入ることを念頭に「ゼロベースで根本的に考えることが必要ではないか」と提言。開催都道府県の財政負担が大きい点などを「国全体で検討していくべき大きなテーマ」と指摘した。 本紙は信州やまなみ国スポで正式競技となっている37競技や冬季競技を行う29市町村のうち、複数種目を開催したり大規模な施設整備を進めたりする19市町の首長や担当部署に見直し議論への見解や28年国スポ計画の見直し有無を尋ねた。大半の市町が財政や運営面の負担感を訴え、牛越徹・大町市長は「国も地方も体力が弱ってきている。必要な見直しはかけるべきだ」と議論に理解を示し、金子ゆかり・諏訪市長は運営について「人手不足ややり方など課題を見極めることが必要」とした。