GINZA編集部がレコメンドする、4月の新刊をご紹介。
GINZA編集部がレコメンドする新刊をご紹介。 ●Recommender 北村浩子 今月賛同した一文。《どうして男は性器が女を感心させたり怯えさせたりすると思いこんでいるのだろう》(『化学の授業をはじめます。』より)
『東京都同情塔』 九段理江
仮称・シンパシータワートーキョー。気鋭の建築家・牧名沙羅は、設計を担当する新宿の高層刑務所のネーミングに拭えない違和を覚えている。もやもやを打破したのは美しい年下の青年が口にした「東京都同情塔」の名。果たして数年後、東京の新しいランドマークとして夢のような塔が建てられて……現実を漂白し逃げ道を作る「日本語の性格」を深く思考した第170回芥川賞受賞作。毅然としつつぐらぐらしてもいる沙羅の人物像が巧み。
『Anouchkaの’60s-’70s英国ヴィンテージトピア AtoZ』 金子美雪
国分寺のヴィンテージショップの店主であり、インスタでも国内外問わず多くのファンを持つ金子氏が、収集した一点もののドレスやポートレートなど貴重なコレクションを惜しげもなく披露したヴィジュアルブック。ファッションのみならず、映画や音楽などからも当時のロンドンの空気をありありと再現する。愛と知識、敬意の詰まった資料的価値もある美しい一冊。
『化学の授業をはじめます。』 ボニー・ガルマス
1961年、シングルマザーのエリザベスは小さなきっかけからテレビの料理番組に起用される。化学用語を使って材料や調理法を説明する彼女のスタイルは、思いがけず人気を博すが……女性が被ってきたあらゆる不当な仕打ちをエリザベスの人生に盛り込みながらも、読者を笑わせ胸を熱くさせるこれぞエンパワメントな小説。100回近く出版を断られた末に世に出たこのデビュー作、全世界で600万部以上を売り上げている。
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