【高校野球】熊谷商のプロ注目右腕・中村謙吾がうれし泣き 9回3点を挙げ、聖望学園に逆転サヨナラ勝ち
◆春季埼玉県大会 ▽2回戦 熊谷商4×―3聖望学園(27日・おふろcafeハレニワスタジアム熊谷) 熊谷商の最速143キロ右腕・中村謙吾(3年)の目から涙があふれ出た。1―1で迎えた9回。先頭打者を振り逃げ(捕手の悪送球)で出し、2死二、三塁から右翼線二塁打で2点を勝ち越された。それでも、味方が援護。その裏1死満塁で、7番・大久保柊摩(3年)の打球は左翼手の頭を越えた。走者一掃の逆転サヨナラ三塁打で初戦突破。主将のエースは泣きながら整列し、「自分のために打ってくれて、うれしかった」と仲間に感謝した。 今年から高校野球でも解禁された2段モーションで、右打者にスライダー、左打者にはチェンジアップを多投。毎回の11安打を許したが、9回3失点(自責1)で辛抱強く140球を投げ抜いた。「中学時代には2段モーションで投げていた。うまくハマった」。プロ3球団が視察する前で、スカウトのスピードガンでは最速140キロをマークした。 春夏通算6度の甲子園出場を誇る古豪だが、お笑いコンビ「TIM」のゴルゴ松本、元西武の原口哲也が在籍した1985年春を最後に聖地から遠ざかる。昨秋に地区予選で敗れた後、10月から主将を務める183センチ右腕は、「『逆転の熊商』がスローガン。チーム一丸となって、泥臭く、強豪にも食らいつきたい」。涙をふき、晴れやかな表情で言い切った。(雑誌『報知高校野球』取材班)
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