新型アウトランダーは中身が全然違う!パワーも静粛性もアップ、街乗りならほぼEVになった!?
新型アウトランダーは、駆動用バッテリーの刷新や床下構造の大幅な変更により、EV走行距離、パワー、静粛性が向上した。特に街中や高速道路でのモーター走行が増え、エンジン始動頻度が減少。内外装の質感向上やヤマハと共同開発した高音質オーディオの搭載も魅力である。いったいどのように進化したのだろうか? 【写真】より静かでパワフルになったアウトランダーの進化ポイントを解説 TEXT:塚田勝弘(TSUKADA Katsuhiro) PHOTO:塚田勝弘/MITSUBISHI 新型アウトランダー最大の評価点は、EV度合いが増した走り! 新型アウトランダーは、駆動用バッテリーを刷新(電池パックの作り直しも含めて)し、床下の構造を大きく変えるほどの大がかりなマイナーチェンジを受けたことになる。街中から有料道路、山岳路まで公道で走らせると、よりEV度合いが増し、パワー、静粛性が大幅に向上しているのを実感できる。とくに、中速域から高速域のパワーが増したことで、アクセルペダルを従来よりも踏み込まなくてもスムーズに走るため、エンジンがかかりにくくなっている。高速域や山岳路の上り勾配などでのエンジン始動時の音、振動面も抑えられていて、ジェネレーター由来のキーンという音もより抑制されている。新型は50%近くまでアクセルペダルを踏み込んでもエンジンがかかりにくく、街中や試乗ステージだった西湘バイパスでは、ほぼモーター走行でまかなえるようになっている。 また、システムトータルでの最高出力が従来の250PS級から300PS級となったことで、従来の足まわりのセッティングではじゃじゃ馬になり、操縦安定性が破綻するということから、三菱自慢の「S-AWC」は、ブレーキ制御、AYC制御、パワーマップが再セットアップされたという。 大小多様なコーナーが続く箱根ターンパイクでもその巨体と2.2t近い重量(7人乗り)を感じさせない回頭性の高さを披露する。とはいえ、2.2t級にふさわしいハンドリングであり、パワステの設定も含めて適正感が強い。重くて大きいのに操舵フィールだけ妙に軽いと不安を抱くものだが、パジェロなど大型SUVを得意としてきた三菱らしい信頼性の高いフットワークを披露してくれる。 走行モードの切替は、シフトレバー下のダイヤルで行う。左に回すと「POWER」、「ECO」、デフォルトの「NORMAL」。右に回すと「MUD」、「SNOW」、「TARMAC」、「GRAVEL」と切り替わる。操作感そのものは良好だが、運転中にブラインドで操作する際は、回すという操作性には少し慣れが必要だ。路面や天候などに応じて「MUD」や「SNOW」を選ぶときは、発進時や信号待ちなどの停車時に操作すれば十分だろう。しかし、走行中に「ECO」から「POWER」に切り替える際に、視線を送らずに操作するのは少し難しい。なお、同じくらいのアクセル開度であれば、「ECO」と「POWER」の差は、かなり大きいだけに、ステアリングスイッチなどで切り替えられれば、より積極的に切り替えようという気になるだろう。 内外装の大幅な質感アップもうれしい 外観は、ボンネットフードをアルミからスチールに変更し、超高速域でのフードのバタツキを抑えるなど、剛性アップも図られている。グリルやバンパーなどのデザイン変更やターンランプとバックランプのLED化などが盛り込まれ、全体によりキリッとした顔つきになっている。全高も5mmだけだが高くなったことで、最上級SUVにふさわしい風格が漂う。 内装は、12.3インチのスマホ連携ナビの搭載や室内ランプのLED化、アルミペダルやフレームレスのデジタルルームミラーの採用などにより、質感と先進性を高めている。運転席と助手席には、シートヒーターはもちろん、シートベンチレーションも備わり、季節を問わずムレを解消してくれるのもうれしい。インテリアのクオリティは、改良前よりも一段も二段も高まっている。 予算が許せば最上級の「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」が欲しい さらに、今回の目玉であるヤマハとの共同開発で生まれた、12スピーカー+デュアルアンプの「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」と8スピーカー「Dynamic Sound Yamaha Premium」も新型アウトランダーの魅力を引き上げてくれる存在だ。楽器を作るヤマハとのコラボにより生まれた最新オーディオは、最上級の「Ultimate」はもちろんのこと、その下の「Premium」でも十二分に高音質なサウンドが楽しめる。2台聴き比べるとその差は明らかに感じるものの、純正カーオーディオとしてはレベルが高いのは間違いない。「Ultimate」で普段聞いている楽曲を再生すると、目前でライブが展開されているかのような臨場感に感動してしまった。「P Executive Package」に標準、「P」と「G」にオプション設定になるので、販売店などでの試聴をオススメしたい。 なお、「Ultimate」は、クルマを取り巻く騒音(空調や雨の音まで)の周波数帯に応じた補正も盛り込まれていて、路面に応じて5段階から調整ができる。オーディオの設定画面から変更ができる。ただし、まったく知らない状態だとその階層にたどり着くのは難しいだろう。せっかくの機能なので、もう少し分かりやすい配置(階層)にしてもいいのかもしれない(担当者は把握済みなので、今後改良されるかも)。 PHEVの進化(真価)を知るには、短時間の試乗では難しく、明確に「×」といえる項目は察知できなかった。「△」も一部の操作性くらいで、快適な走行には何ら影響はない。100km超となったことで、多くのユーザーにとって普段使いはEVになり、もちろん長距離移動も、スタッドレスを履けば雪上などの条件を問わず、躊躇なく走行できる圧倒的な機動力の高さ、「V2L」、「V2H」に対応する給電機能、アウトドアなどでの「走る電源車」としての利便性の高さを享受できる。526万3500円~668万5800円という価格帯は、グレードによっては約40万円のアップとなっているが、その価値は十分以上に実感できるはずだ。55万円のCEV補助金に加えて、補助金を設けている自治体ならさらに恩恵が受けられる。走りと内外装、サウンドを含めた大幅なクオリティアップは、倍くらいする輸入高級SUVに匹敵するくらいのレベルにある。
塚田 勝弘
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