激変! 日本の防衛 対中国「最悪のシナリオ」備えは【NEWSアングル】
WBSの豊島晋作キャスターが独自の視点で日本や世界のニュースを解説するコーナー「NEWSアングル」。米中首脳会談では、ひとまず対話と協調が演出されると見られますが、日本では、万が一の、将来の軍事的な対立への備えも急がれています。 中国の威圧的な行動と米中対立の中で、日本は最悪のシナリオにどう備えるべきなのか。今回のテーマは岐路に立つ日本の防衛です。15日、この問題で非常に多くの動きがありました。 まず中国を意識した在日アメリカ軍の組織変更です。沖縄県に駐留するアメリカ海兵隊、戦争では最前線で戦う部隊ですが、この部隊の一部がMLR(海兵沿岸連隊)に組織改編されました。狙いは離島防衛の強化です。有事の前から離島などに小規模な部隊が分散して展開し、有事の際は相手のミサイルの射程圏内を移動しながら攻撃や情報収集を行います。 戦時に第一陣として大規模に前方展開する海兵隊のあり方を抜本的に変えました。アメリカはこうした部隊を南西諸島一帯に展開し、中国を抑止する狙いです。 そしてアメリカの同盟国である日本の自衛隊もその他の様々な国の軍隊との連携も強化しています。陸上自衛隊は15日からイギリス陸軍と離島防衛を想定した実働訓練を始めました。参加したイギリスの兵力は過去最大規模の約200人です。 有事の際、イギリス軍が日本防衛に駆け付けるかどうかはともかく、木原防衛大臣は「高い技量を持つイギリス軍に学び、またイギリスのインド太平洋地域への関与を示すもので、抑止力の実効性向上につながる」と意義を強調しました。 さらに、日本とASEANとの防衛協力を目指す防衛相会合も15日、開かれました。日本はアジア地域の安定に向けて、安全保障分野での協力を進めたい考えです。中国の圧力に様々な国と連携して対抗しようとしています。 さらに今、日本が力を入れようとしているのが様々な防衛装備品、つまり兵器の開発です。15日、都内で開催されている防衛装備品の展示会では、日本の防衛力強化に向けて開発中の最新技術が並びました。 離島防衛を意識した水陸両用車や、ミサイルなどの迎撃を視野に入れた高出力レーザー兵器も。特に目を引いたのは、極超音速誘導弾。音速の5倍を超える速度で飛行しながら軌道を変えることが可能で、迎撃されにくいのが特徴です。防衛装備庁は2031年までに研究・試作を終えることを目指しています。 「通常はエンジンができてから飛翔体にするところを、ほぼ並行して開発を進めている。リスクを取って期間を短く。個人的経験上、かなり急いで進めている」(防衛装備庁航空装備研究所の中山久広さん) さらに現在、一部の防衛装備品を他国に輸出できないかどうか、新たなルール作りの議論が進んでいます。 自民・公明両党は15日、防衛装備品の輸出ルール緩和に関する実務者協議を開きました。今のルールでは、アメリカがライセンスを持つ装備品の部品に限って輸出が認められています。これを戦闘機などの完成品の輸出まで認める形に規制を緩和できないか、議論しているのです。 なぜ今、そういった議論が進められているのかというと、現在アメリカがウクライナ支援などで兵器の生産が追いついていないからです。 今後、アメリカは日本に完成品の輸出を求めてくる可能性があり、もしそれに応えられれば同盟の信頼関係が強まるといった声が自民党内で出ています。ただ公明党は「平和国家としての日本のあゆみ」を重視し、武器の輸出には慎重です。この問題では、日本で作られた兵器が間接的に他国に危害を加えて日本への敵対感情が生まれる懸念などが指摘されています。 ※ワールドビジネスサテライト