議会改革下位の都議会 都議選直前、何が遅れているかポイント整理
都議選の投開票日が7月2日に迫りました。昨夏の小池百合子都知事就任で、議会との関係が注目を集めたことで、選挙戦では都議会の議会改革の遅れ、改革推進を語る候補者も出ています。都議会が、どのくらい議会改革面で遅れているのか、整理します。
現在の改革ランキングは47都道府県議会のうち36位と下位
都議会は議員数127人、いうまでもなく日本最大の地方議会です。しかし、全国の地方議会の議会改革度を調べている早稲田大学マニフェスト研究所が6月8日に発表した最新の「議会改革度調査2016」都道府県議会のランキングでは、前年度より1つ順位を下げ、全国47議会中36位と改革がまったく進んでいない実態が明らかになりました。 同研究所が調査結果を基にまとめた「東京都議会の現状分析と提言」によると都議会は、全国最多の議員女性比率(2割)、議会事務局員数(141人)、議員1人あたりの政務活動費(月60万円)と、「民意の反映に向けた議会活動の環境」は充実しているといいます。 では、具体的にどのような面で改革の必要があるのでしょうか。ランキングトップ3の大阪府議会(1位)、兵庫県議会(2位)、鳥取県議会(3位)と比べてみます。
先進議会と比べ、「取り組みなし」だらけ
同研究所の議会改革度調査は「情報共有」(議事録などの公開具合と検証)、「住民参加」(傍聴のしやすさ、議会報告会などの実施など)、「議会機能強化」(議会本来の権限・能力の機能強化)の3つの観点から評価しています。 「情報共有」面でみると、上位3議会で実施されている「政務活動費」のインターネット公開、常任委員会のインターネット動画配信が都議会はありません。 「住民参加」面では、都議会は請願・陳情者の意見陳述がないなど、住民の発言機会を用意していません。上位3議会が議会報告会といった住民との意見交換の場を積極的に設けていることと比べても、都議会は報告会だけでなく、住民への出前授業・模擬議会などシティズンシップの取り組みもまったくなく、住民意見を直接政策につなげる仕組みが乏しいことが問題点として挙げられます。 特に遅れが目立つのは「議会の機能強化」面です。改革の先進議会では次々導入されている、議会の理念・運営方法を定める「議会基本条例」の制定がなく、議長選挙も実施していません。 その結果、上位3議会は過去3年間に政策型議員提案条例の提出や過去に実績がありますが、都議会では過去3年間制定なしという結果になっています。また、本会議や委員会室でパソコンの使用ができなかったり、一問一答や知事側の反問権、議員同士の自由討議といった討議環境の整備も遅れています。
都議選意識し、特例で議員報酬削減など一部改革推進
都議会は、昨秋の定例会で、小池知事の給与を半減する条例が成立し、都議の年収が知事年収を上回る事態を避けるため、本年度特例として議員報酬を20%削減。また、全国一高かった政務活動費60万円を本年度から50万円に減額、交通費等として支給されていた費用弁償の廃止(島部在住議員のみ実費支給)を決めました。政務活動費の領収書などのインターネット公開を、こちらも本年度から実施することを決めるなど、都議選を意識し、改革に乗り出しましたが、先進議会と比べ、取り組むべき課題は山積なのが現状となっています。