【吉見一起の目】阪神・大竹の3要素…パワーピッチャーが主流の現代に結果を残せる理由
【吉見一起の目】◇26日 阪神1―1中日(甲子園)=延長12回 阪神の大竹を見るのは今季3度目だった。あらためて感じたのは、長いイニングを投げてゲームをつくれ、勝ちを拾える要素を持った投手だなということだった。 要素は主に3つ。一つ目が常に自分の間合いで投げられることだ。これは簡単なようでなかなかできることではない。受け身の打者と違い、自分から動ける投手は本来圧倒的に有利な立場にいる。それでもどこかで怖さが出たり、急にペースを乱すことがあるものだ。大竹を見ていると、どんな状態になっても自分のペースを保っている。 2つ目は奥行きをうまく使えている点だ。投球を見ていて、現役時代に金子千尋さん(現日本ハムコーチ)から言われた「奥行きを使うことができればそう簡単には打たれない」という言葉を思い出した。 投球の主になっている球種は140キロ前後の真っすぐ、130キロ台のツーシーム、120キロ台のチェンジアップ。球速差のある3球種をコースに投げ切れるコントロールがある。 3つ目は右打者のインコースに投げ切れることだ。それによってツーシームやチェンジアップが生きてくる。インコースに投げるには勇気がいるのだが、大竹はそのスキルを持っている。他の投手にも見習える点である。 パワーピッチャーが主流の今、大竹のような投手が結果を出せているのには相応の理由がある。(本紙評論家)
中日スポーツ