ヘッジファンドが円のコール購入、日銀QT警戒し戦術転換-関係者
(ブルームバーグ): ヘッジファンドが円相場について相次いで強気の見方に突然転じ、円のオプション取引でこれまでと逆方向に動いていると複数の市場参加者が明らかにした。
先月は円が対ドルで1ドル=160円に再び下落することを見越したオプション取引にレバレッジファンドが殺到したが、今週に入ると状況が一変し、円の対ドル相場上昇で利益が得られるは円のコールオプション(買う権利)をファンドが購入している。
日本銀行が早ければ来週開く金融政策決定会合で、長期国債の買い入れ減額について、より具体的な方針を示すことの是非を含め議論する可能性が高いとブルームバーグ・ニュースが伝え、4日の取引でドルの対円相場は155円を割り込んだ。円上昇でキャリートレードの魅力が薄れた。
ノムラ・インターナショナルの外国為替オプション取引グローバル責任者ルチル・シャルマ氏は「日本の政策担当者から漏れてくる情報のせいで、リアルマネーやテールリスクファンドが一定の切迫感を持って円のコールに目を向け始めた。日銀による量的引き締め(QT)を巡る不安が市場を動揺させている」と指摘した。
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ドル円相場を下落させた誘因はそれだけではない。米供給管理協会(ISM)が3日発表した5月の製造業総合景況指数が予想を下回り、活動の縮小ペース加速が示されたことなども米国債利回り低下を通じて、ドルを圧迫した。トレーダーが織り込む年内0.5ポイントの米利下げ確率が高まった。
円のコールオプション需要高まりに伴い、ドル円の下落リスクヘッジのプレミアムが高騰した。米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀の金融政策決定会合の開催日を含む今後2週間について、ドル円下落のリスクヘッジコストは4日、ドル上昇のリスクヘッジコストと比較し、4月29日以降で最も高くなった。
原題:Hedge Funds Flip Flop on Yen Option Trade as BOJ ‘Spooks’ Market(抜粋)