〝増税メガネ〟にブチ切れ定額減税! 国際会議で逃げる中国首相を強引に捕獲! 岸田文雄「実はガンギマリ総理」実録
③2023年5月、G7首脳の原爆資料館視察を断行 自身のルーツである広島で行なわれたG7サミット。警備やロジの問題、各国との調整など腐心を重ね、岸田首相は各国首脳を平和記念資料館(原爆資料館)の展示視察へアテンドした。 「このときは、最も凄惨な原爆被害の実態が展示されている本館の視察はどうしても難しい、東館だけならなんとか、という状況でした。そこで岸田さんは、『それなら本館の展示を東館に持ってきて見せたい』と、粘り腰を見せて主要展示の視察を実現したのです。 その結果、各国首脳(米英仏は核保有国)は凄惨な被爆の実態を目の当たりにし、花を手向けた。さらに、ロシアの核の脅威に直面しているウクライナのゼレンスキー大統領も別日程で視察。その政治的価値は小さくありません」 なお、岸田首相は外相時代の16年にも、各国外相の原爆資料館展示視察をアテンドしている。 ④2023年9月、逃げ回る中国・李強首相を「捕獲」し、処理水問題を「説明」 福島第一原発の処理水放出を受け、中国が日本産水産物の禁輸を決めた直後、インドネシアで開かれたASEAN(東南アジア諸国連合)プラス3(日中韓)に先立つランチタイム。岸田首相は昼食を放り出して中国・李強首相の元へ急行。逃げる間も与えず、「立ち話」で「日本の立場を丁寧に伝えた」(岸田首相本人談)。 「無理筋の嫌がらせで禁輸措置を取った中国側からすると、このタイミングでは首脳同士の接触は避けたかった。しかし岸田さんは『なんとしてもひと言言う』と完全にキマっていたらしく、李強首相の居場所がわかると、随行していた木原誠二官房副長官(当時)が追いつけないほどのスピードで現場に猛ダッシュしたそうです。 立ち話に公的な効力はないものの、外交の文脈では首脳同士が話をしたという事実そのものが大事で、しばらくの間、中国は〝汚染水批判〟のトーンを下げざるをえなくなった。事務方の調整に頼らず、あそこで急に走り出す岸田さんの嗅覚は独特で、今でも外務省周りでは語り草です」 ⑤〝増税メガネ〟呼ばわりにブチ切れて定額減税を実施 会見などでは「私はなんと呼ばれても気にしない」と平静を装っていた岸田首相だが、実際には〝増税メガネ〟と呼ばれていることをかなり気にしていたらしい。 「防衛費増額に伴う〝増税の検討〟からそう言われ始めたのですが、実際のところ岸田政権下での増税は、誰が首相でもほぼ決まっていた森林環境税だけ。ご本人も『俺は増税してない』『あれ(増税メガネ)はなんとかしたい』と嘆いていたようです」 そこで、なんとしても「減税」を......ということで決まったのが定額減税。実質的には現金給付に等しいのに、わざわざ「減税」の形を取ることで相当大がかりなロジになってしまったのだが、「減税と賃上げをセットでやるんだ」とガンギマった岸田首相はもう止まることはなかった。 * * * そして、岸田首相の最後の勝負手となったのが、最側近以外ほぼ誰も(茂木敏充幹事長でさえ)当日まで知らなかったという電撃的な総裁選不出馬表明だ。 「結果的には、これで岸田さんは『任期満了で自ら後進に譲った』形となり、次への目を残したといえます。自民党としても、社会保障費削減、中国経済の減退に伴う不況など難しい局面を迎えて時の政権が倒れた際に備え、〝岸田再登板〟というワイルドカードを残す形になりました」 ガンギマリ総理、いつかカムバック!? 写真/共同通信社