政党の公認、推薦を受けた（左から）森大介氏、鈴木康友氏、大村慎一氏　※届け出順

　川勝平太前知事の辞職に伴う静岡県知事選は26日に投票が行われ、即日開票される。新人6氏が立候補し、元浜松市長の鈴木康友氏（66）＝立憲民主党、国民民主党推薦＝と、元副知事の大村慎一氏（60）＝自民党推薦＝が激しく競り合い、共産党県委員長の森大介氏（55）＝同党公認＝が追う展開となっている。 　全国的な注目を集めるリニア中央新幹線工事への対応や浜松市の新野球場の整備方針をはじめ、川勝県政の継承か、刷新かも争点に浮上している。人口減少や産業振興、子育て支援など多岐にわたる政策課題で舌戦が繰り広げられている。 　鈴木氏は、浜松市長4期16年の実績や実行力をアピール。産業振興や子育て支援拡充を掲げ、全県での知名度向上を目指してきた。リニア問題では推進の立場で課題解決を訴えるが、終盤戦で「良い部分は引き継ぎ、その上に県政を築く」と川勝県政の継承を強調している。連合静岡や旧民主党系の議員らが選対本部を構成し、県西部で経済界や党派を超えた支援を受ける。24日は沼津市で街頭に立ち、「東部の地域経営に力を入れ、市町に寄り添う」と政令市のない東部・伊豆地域担当の副知事級ポストを置く考えを示した。 　大村氏は、総務官僚36年で培った行政経験や中央省庁人脈の県政への活用、市町との連携による政策実現を訴える。伊豆地域を防災特区にするなど、県内4地域の特性を生かす「前進ビジョン」を掲げ、全域への浸透を急ぐ。自民党や業界団体が選挙戦を組織的に支えるが、超党派の議員や首長らも加わり、政党色を抑えた戦いを進める。県中部を中心に企業が連携して支援体制を築く。24日は浜松市内10カ所以上でマイクを握り、「特定の大きな声に流されず、県民の声を聞いてまっすぐ県政を立て直したい」と声を上げた。 　森氏は、反リニア、反原発を一貫して主張し、暮らしや福祉最優先の県政実現を目指す。鈴木氏や大村氏の批判票の受け皿として、党組織を前面に出した選挙戦で追い上げを図る。24日は浜松市天竜区の食料品店前で演説し、「県民の命、暮らし、将来を守り抜く立場で国や大企業にも物を言う知事になる」と訴えた。 　このほか政治団体「個人の尊厳党」代表の横山正文氏（56）、無所属でアパート経営の村上猛氏（73）、無所属でコンサルティング会社社長の浜中都己氏（62）も立候補している。