重要文化財への指定が答申された總持寺祖院＝輪島市門前町（ドローンから）

　　●再復興に追い風 　国の文化審議会（島谷弘幸会長）は18日、輪島市門前町の曹洞（そうとう）宗大本山總持寺祖院（そうじじそいん）を構成する大祖堂など16棟を、重要文化財に指定するよう阿部俊子文部科学相に答申した。2007年の能登半島地震で損壊しながらも修復を果たし、110年を超えて維持されてきた境内の景観が評価された。元日の地震で再び被災したが、重文に指定されれば修復の際に受けられる国の補助が拡充されることから、再復興の追い風になると期待される。 【写真】重要文化財に指定される見通しとなった總持寺祖院の山門=輪島市門前町 　總持寺祖院は、明治時代の大火後に横浜市鶴見に移転した曹洞宗大本山總持寺の別院として再興した。経蔵や白山社本殿など藩政期から残る建造物をはじめ、大規模な空間を備えた大祖堂、細かな彫刻を施した山門などが壮大な伽藍（がらん）を形成。大本山移転後も格式を保ち、当時の景観を今に伝えている点が評価された。 　輪島市教委文化課によると、07年3月の地震では境内の国登録有形文化財17棟全てが甚大な被害を受けた。約30億円の設計・工事費をかけて20年に修復を完了し、復興の象徴と位置づけられたが、今年1月の地震で再び被災。今回答申された16棟はほどんどの屋根が崩れ、経蔵の壁や山門の階段などにも被害が出た。 　重文指定を受けると、修復にかかる工事費の50～85％を国からの補助で賄うことができる。總持寺祖院の髙島弘成副監院（51）は「復興に向けて大きな方向性が示されたことは大変ありがたい。門前の人の心のよりどころであり、門前や能登の希望の光になればいい」と期待した。 　輪島市内の建造物が重要文化財に指定されれば4件目で、石川県内では49件目となる。   　★總持寺　1321（元亨元）年、行基が創建したと伝わる諸岳寺を瑩山紹瑾（けいざんじょうきん）禅師が譲り受けた。曹洞宗大本山として隆盛を極めた藩政期には全国に1万6千余の末寺があったが、1898（明治31）年の大火を機に横浜市鶴見に移転。門前の寺院は總持寺祖院として復興した。