あおぞら銀社長、金利復活で国内企業融資に再注力-大和証G基盤活用
(ブルームバーグ): あおぞら銀行は円金利の上昇を受け、国内の企業向け融資を増やしていく方針だ。資本業務提携する大和証券グループ本社の顧客基盤を活用し、取引先の拡大を目指す。
大見秀人社長がブルームバーグとのインタビューで述べた。同融資について「スプレッドがそれほどない時代は収益性が低かったが、金利のある世界となったことで増やしたい」と説明。「われわれは顧客との取引が細かったので、大和証Gの約2000社の幹事先を紹介していただく」と語った。
3月まで続いた日本銀行によるマイナス金利政策下では、国内貸し出しで収益を上げることは難しかった。そのため、あおぞら銀は積極的に増やさず、海外での貸し出しに比重を置いてきた経緯がある。国内上場企業の約半数の幹事証券を務める大和証Gのネットワークを活用することで、国内向けの増加につなげる。
あおぞら銀は前期(2024年3月期)、市況が悪化した米オフィス向け融資の引当金計上などで15年ぶりの赤字に転落し、純損失は499億円に上った。大和証Gが約24%を出資して持ち分法対象とし、資本と業務の両面から同行の立て直しを支援している。
同行の法人営業グループの貸出金残高は9月末で約1兆円。強みを持つのは、買収先企業の資産などを担保とするレバレッジドバイアウト(LBO)融資などのストラクチャードファイナンスだ。4月に社長に就任した大見氏も長年にわたり国内LBO市場での経験を持つ。
LBO融資残高は9月末で約3300億円。大手企業による非公開化案件の増加や中堅・中小企業の事業継承ニーズの高まりで需要はさらに伸びるとみられ、ストラクチャードファイナンスの出し手として地方銀行などの参入も相次ぐ。LBOなどに関する地銀からの相談も増えており、今年度は2行から行員をトレーニーとして受け入れた。
大見氏はLBO市場の発展のためにも参加者が増えることは良いことだとしながらも「日本の場合、コーポレートローンと比べると収益性が高く、そこだけを見てしまうと規律は緩みがちになる」と指摘。性急な市場拡大と競争激化がもたらすリスクには懸念を示した。