料亭時代の輪島塗など200点 菜香亭で「うつわ展」【山口】
山口市天花1丁目の市菜香亭で、企画展「料亭『祇園菜香亭』を彩ったうつわ展」が開かれている。料亭時代に使われた輪島塗や有田焼のわん、皿など200点がかつての雰囲気を演出し、来場者をもてなしている。5月27日まで。 菜香亭は1877~1996年に料亭として営業。伊藤博文や井上馨ら明治維新の立役者をはじめ、佐藤栄作、岸信介など県ゆかりの政治家に愛された。料亭時代を改めて知ってもらおうと企画した。 懐石料理を提供した船形刺し身皿や大皿、酒器が並ぶ。目玉は、真っ赤なタイを模した2対の器が目を引く輪島塗の鯛型蓋物。タイの塩釜焼きを割った後、ほぐした身を入れるのに使われていたという。それぞれ異なる富士山がふたに描かれた19点の輪島塗のわん「富士十九景」は、戦前まで大臣級にしか提供されなかった逸品。山のかすみや湖の波の線の描写など技工が凝らされている。 各皿の用途や品書きを解説したパネルを設置。宴会写真をもとに再現した膳や、長州藩の藩主、毛利敬親の孫で最後の殿様と言われた元昭専用の食器も並ぶ。菜香亭内にあり、市内で初めて西洋料理を提供したという洋食堂に関する資料もあり、伊藤博文が使ったワイングラスも置いている。 担当の森近真奈美さんは「色彩豊かで見た目に楽しい器を通して料亭時代に思いをはせてもらえれば。能登半島地震で被害を受けた輪島塗の魅力も感じてほしい」と来場を呼び掛けている。 4月3日と5月1日に展示の一部を入れ替える。大人100円、中学生以下50円。時間は午前9時~午後5時。火曜休館。問い合わせは同施設(電話083-934-3312)へ。