東大准教授が実践する「頭のいい子になる会話術」話しかけ方で子どものIQや成績に差が出る!?
子育てに直面したときに、巷で耳にする、あんなウワサ、こんな説。それってほんとうに根拠があるの? これまで、気になる論文を読んできた、情報理工学博士の山口先生が、世の中にあふれる「子育て説」を科学の面から一刀両断。現在子育てに悩んでいる方、なにかヒントが見つかるかもしれません。 今回は、「頭の良くなる話しかけ方」についてお話しします。 【頭のいい子の育て方】子どもの成績を伸ばすために、トップレベルの親が絶対にやらないこと みなさんは、子どもにどんな風に話しかけていますか? どうせわからないから…と、簡単にわかることばだけで話しかけていませんか? 最近は、赤ちゃん言葉は使わない方がいい、というのがコンセンサスになってきているので、気をつけている方も多いと思います。
子どもへの話しかけ方で、IQや成績に差が出る?
ある研究結果で、富裕層と貧困層では、子どもの成長後のIQや成績に差が出ているのですが、その原因がどこから来るのか、実験したデータがあります。 4歳までにその家庭内で利用した単語数に大きな影響があることがわかっています。 富裕層は、家庭内で話している単語数が1時間で2100語。一方、貧困層は600語。 この結果から、4歳までに聞く単語数によって、のちのIQや成績に影響があると結論づけられています。
会話の“質”や“中身”が大事
この実験を受け、さまざまな文献で、4歳までの子どもにどのように話しかけるのがよいかについて議論がされています。 実は、この論文はとても有名なこともあり、さまざまな追実験が行われたり、富裕層と貧困層という分け方など、いろいろな異論もでています。 成績等は親からの遺伝も左右されるところもある(遺伝については次回議論します)ので、会話の内容も4歳までの言語だけでは語れないところもありそうですが、子どもとの会話の質や中身が大事なのでしょうね。 さて、子どもを育てていると、自分自身、同じような体験をしたことを思い出すのですが、親や小学校の先生などから受けた説明で、聞いた時点ではよくわからなかったことでも、後から思い出して、言葉の意味を理解した瞬間が何度かあります。 自分の子どもも同じようなことがあるに違いない、と信じて、聞かれた質問には全て答えるようにしています。 「月は浮いているのになんで落ちてこないの」とか「なんで波が満ち引きするの」とか、単純なことを聞かれます。 先日は、東京ディズニーシーで見た渦巻きはなぜできるのか、と聞かれたので、お風呂で水を抜くことをしながら、渦ができる仕組みを話しました。 今後も、理系の研究者が母親になって感じた日々の疑問について、私なりに調べ、考えた結果を共有していけたらと思っています。
【Profile】山口利恵
7歳の子どもを持つ母親で、博士(情報理工学)。普段は、東京大学大学院情報理工学系研究科ソーシャルICT研究センターの特任准教授として、情報系の研究を推進。また、情報オリンピック日本委員会や国際大学対抗プログラミングコンテストのメンバーとして、中高・大学生の数理情報科学教育の振興にも邁進。趣味はクラシック音楽。