経験を街づくりに生かす ハウステンボス・技術センター<クロスE上場 人と技術㊤>
長崎県5年ぶりの上場企業となった佐世保市のCrossEホールディングス(クロスE)。ハウステンボス・技術センターと西日本エンジニアリングの持ち株会社として2022年に設立し今年8月、福岡証券取引所の新興企業向け市場Qボードに上場した。上場でグループの知名度向上を図り、事業拡大を目指す。成長戦略の核となる“人と技術”にスポットを当てた。 ハウステンボス・技術センターは、1992年に開業したハウステンボス(HTB)の施設管理部門から分社化し、95年に設立。2010年にHTBの運営を始めた旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)の子会社となり、テーマパークの発展を支えてきた。多種多様な建築、設備群を一元管理。HTBはアトラクション開発などの大型投資を予定しており、施設のメンテナンスと合わせた対応が主業務となる。 佐世保高専卒で入社5年目の宇久彰人さん(24)は「設備管理に興味があり、地元で活躍する企業に入りたかった」。園内の照明や電気、熱源などの監視を担当。「トラブルがあったら迅速に対応できるよう、知識と技術を高めている。HTBならではの経験」と話す。各種資格取得にも積極的で、現在、第2種電気主任技術者を目標にしている。 従業員数は約80人。若手に加え、セカンドキャリアとしての人材も活躍する。北平増已さん(66)は建設関連の仕事を定年退職後に入社。園内のウォーターガーデンの施工管理などに携わった。「お客さま第一の仕事。造った喜びがある。今後の開発が楽しみ」と充実感を語る。 HTBの開業の頃からの歴史を知る常務取締役、村岡実さん(57)は「施設のクオリティーを維持するためのメンテナンスやアトラクション開発に伴う施工管理など、いろんな面で協力し、今までの経験を、今後の街づくりに生かしたい」と観光施設のさらなる発展を願う。 培ったノウハウを活用し近隣自治体施設などの管理業も担っている。クロスEは今後、企業の事業承継を進め、業務の拡大を図る。「このノウハウで、いろんなことが展開できる。この地を拠点にエリアを拡大し、県北、本県の活性化に尽くしたい」と地域貢献を課題に掲げる。