代表監督に戦術など指導力は不要? 元コートジボワール代表選手の見解は「仲良くコミュニケーションを取って……」
トッププレイヤーへの指導は不要なのか
代表監督に求められる能力とは、どういうものなのか。クラブチームと違い、代表チームは集まれる機会が限られている。戦術を浸透させるのも簡単ではなく、クラブチームとは全く異なるアプローチが求められる。 興味深いのは、現在行われているアフリカ・ネイションズカップで準決勝まで駒を進めたコートジボワール代表だ。 コートジボワールは今大会の開催国なのだが、立ち上がりは最悪だった。グループステージは何とか突破したが、格下の赤道ギニアには0-4のスコアで完敗。大会中にも関わらず、コートジボワールは指揮官のジャン・ルイ・ガセットを解任する決断を下し、後任には暫定監督としてエルメス・ファエが就いた。 大会中に監督交代に動くのも凄いが、ひとまず結果は出ている。ファエ暫定体制となったコートジボワールはベスト16でPK戦の末にセネガルを撃破し、ベスト8では延長戦でマリを撃破。退場者を2人も出す苦しいゲームだったが、何とかベスト4へ駒を進めた。 そのコートジボワールについて、元コートジボワール代表DFエマニュエル・エブーエは興味深い見解を示している。 英『BBC』によると、エブーエはコートジボワールのようなタレントの揃う代表チームでは監督による特別な指導は不要だと主張。選手たちが気持ちよくプレイできる環境を整えるのが理想の代表監督との見解を示している。 「コートジボワールの選手たちは皆優れているから、通常我々のようなチームは指導を必要としない。選手たちはヨーロッパのトップクラブでプレイしているから、彼らと仲良くコミュニケーションを取って組織にポジティブな雰囲気をもたらすことができる人が必要なんだ。このチームは最初低迷していたけど、今は立ち直っている。チームとしてプレイできているし、セネガルに勝ったことで自信もついたね」 確かにコートジボワールはミランやバルセロナでプレイしてきたMFフランク・ケシエ、ローマDFエヴァン・エンディカなどトップリーグでの戦いを経験している者が多い。アフリカの中ではタレント集団と言えそうだが、こうしたチームは選手たちに自由を与えた方がいいのだろうか。 これはチームのタイプによっても変わるが、エブーエは細かな戦術論よりは選手たちのモチベーションを管理できる指揮官の方が代表チームに向いているとの考えだ。
構成/ザ・ワールド編集部