ゴスペラーズ黒沢 薫「売り場で自分たちのCDを一生懸命に探して…」現実を知った“メジャーデビュー当時”を振り返る
俳優・ミュージシャンの松下奈緒がパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「Grand Seiko presents My Time My Story」(毎週土曜12:00~12:25)。月替わりでゲストをお迎えして、“願いが叶ったときのこと”や“達成したときの喜び”、“心躍る瞬間”について伺っていくプログラムです。2024年12月のマンスリーゲストは、ゴスペラーズの黒沢 薫さん。この記事では「メジャーデビューしたとき」について伺った12月14日(土)放送の模様を紹介します。
◆心躍る瞬間「メジャーデビューしたとき」
松下:ゴスペラーズの皆さんのメジャーデビューは1994年12月。ちょうど30年前になりますね。 黒沢:そうなんです。実は、その前にインディーズデビューをしているのですが、そのときのメンバーとメジャーデビューしたときのメンバーが違うんです。アカペラサークルで活動していたときは同級生で組んでいましたが、就職活動だったり……。 松下:それぞれの道がありますよね。 黒沢:“そりゃそうだよね”ということで、3人抜けて。“さあ、どうする?”となったときに、よく知っている後輩で歌える人、そして、何よりも“プロになりたい”と思っている人がいいということで、(条件と合致した)後輩(酒井雄二さん、北山陽一さん、安岡 優さん)を入れてメジャーデビューしたんです。 松下:そういう(プロになりたい)方たちがすぐ周りにいらっしゃるのがすごいですね。 黒沢:続いたから良いようなものの(苦笑)。 松下:それだけ素晴らしい出会いだったのですね。 黒沢:それで、インディーズデビューしたときにすごく尽力してくださったのが、ラッツ&スターのベースボーカル・佐藤善雄さんだったんです。 佐藤さんはインディーズのレコード会社の代表をされていて、僕たちのことを応援してくださっていたので、(メンバーが変わったので)佐藤さんのところに「この5人でまた頑張りますから!」と報告しに行ったら、「実はソニーの人が来ているんだよね」と奥からソニーの方たちが出てきて、「2週間後にレコーディングします」「よろしくお願いします」となりまして。 松下:ええ!? そんないきなり決まるものなんですね! 黒沢:先にタイアップだけ決まっていたんです。めちゃめちゃトントン拍子じゃないですか? 松下:そうですよね。 黒沢:そこから必死に練習して、なんとか録りきって、メジャーデビューの日を迎えました。“メジャーデビューしたら世界が変わる”なんて思っていたんですよね。 松下:違う世界が見えると。 黒沢:“この日からスターだぞ”くらいに思っていたんです。でも、メジャーデビューした瞬間はワクワクしたけれど、その後は“思っていたのと違うなぁ”“おかしいなぁ”と……。レコード店に行っても、僕たちのCDが全然「面出し」されていないんです。 松下:(笑)。 黒沢:だから、売り場で自分たちのCDを一生懸命に探して一番前に出す、ということを繰り返していました。歩いていても全然声をかけられないし“なんでだろうなぁ”みたいな(笑)。 松下:メジャーデビューすることに対していろんなことを想像されていたのですね。 黒沢:そうですね。一瞬ときめいた後、静かにそのときめきがなくなっていく……という経験を1994年12月に味わいました(苦笑)。