5月米雇用統計は上振れ:年内利下げ回数の見通しは1回に
9月利下げ確率は約50%に
今回の雇用統計を受けて、年内の利下げの回数についての金融市場の見方は、2回程度から1回程度に低下した。また、現時点で有力と考えられる9月利下げについて、金融市場が織り込む確率は、統計発表前の7割程度から、5割程度にまで低下した。さらに、7月の利下げを予想していた大手米金融機関の間では、統計発表後には予想時期を9月に先送りする動きも見られた。 雇用統計を受けて、ドル円レートは155円台半ばから一時は157円台にまで円安が進んだが、7日の米国市場は156円台半ばで終えた。週明けの東京市場で、雇用統計を受けて円安が一気に160円程度まで進み、政府が再びドル売り円買い介入に踏み切るといった可能性は小さいだろう。 FRBは、12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策決定を行う。今回政策変更を見込む向きはほぼないが、そうした中注目されるのは、12日の朝に重要統計である5月消費者物価統計が発表されることだ。 その内容と、FRBの受け止めは、FRBの今回の雇用統計の解釈と並んで、金融市場が利下げの時期を占ううえで非常に注目する点だ。それら次第では、今回の雇用統計以上に金融市場が大きく揺るがされることになるのではないか。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
木内 登英