日経平均株価をめぐる「2つの激しい攻防戦」とは何か?
■アナリストレポートを得た個別株は強い値動きに 前回の記事「5月の日本株は『セル・イン・メイ』ではなく買いだ」では、兜町筋はとりあえず決算発表後のアナリストレポートが出そろうのを待って、レポートによるマーケットの反応を確認してから攻めようとしている、という趣旨のことを書いた。 早速24日には、みずほ証券が投資判断を「中立」から「買い」に格上げ、目標株価も4200円から6000円に引き上げた資生堂が、日経平均が一時700円安となった中で大幅続伸している。日経平均のせめぎ合いに、しばらくはアナリストレポートによる個別株の動きが加わるだろう。
同日には日本の10年債利回りがついに1%に達し、前述の一時700円安にも若干の影響を与えたかもしれない。だが「長期金利1%ショック」は起きていない。これは2%に向かってゆるやかに上昇していく通過点、と考える投資家が多いためとみられる。逆に米欧は2%に向かって下降する体制入った。これから、市場はこの2つの流れを織り込みながらの展開となりそうだ。 今週(27~31日)の予定を見ると、その流れに影響を与えそうなアメリカのいくつかの重要指標発表がある。ベージュブック(築連銀経済報告)や1~3月期のGDP改定値などにも注目だが、やはり週末・月末の31日に発表される4月の個人消費支出(PCE)はしっかりチェックしたい。この日は日本や中国の指標発表も多い。そして、それを携えて6月相場に突入して行く。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
平野 憲一 :ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト