GDPはもう古い…日本がG7で提案した「新しい経済指標」のメディアが報道しない「革新的すぎる」中身
G7で日本が議論を先導
各国政府もこうした問題にまったく無自覚なわけではない。着目すべき試みの1つは、2023年5月に新潟市で開かれた先進7ヵ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議とその準備段階で日本が議長国として提起した議論だろう。 GDPという尺度の限界とそれを乗り越える方法を正面から取り上げ、それぞれの国で始まっているGDPに代わる経済的厚生(ウェルフェア)の算出の事例を共有した。前出のデービッド・ピリングやノーベル経済学賞受賞者で左派経済学者の代表格とも言うべきジョセフ・スティグリッツも呼ばれ、討議に加わった。 メディアにはほとんど注目されなかったが、議論の成果は広島サミット(2023年5月)の首脳宣言にも以下のように盛り込まれた。 「我々は、我々の経済的及び社会的構造がダイナミックかつ根本的な変容を遂げていることを認識しつつ、ウェルフェアの多元的な側面及びこれらの側面を実用的かつ効果的な方法で政策立案に組み込むべきであるということを強調する。このような取組は、G7の中核的価値観である民主主義と市場経済への信頼を維持することに資する」 『岸田首相も大誤算…「GDP=国の豊かさ」という前時代の妄想がもたらす深刻すぎる「弊害」』へ続く
井手 壮平