【タイ】日本旅行フェア、リピーター需要増で盛況
日本政府観光局(JNTO)バンコク事務所は8~10日、タイの首都バンコクで訪日旅行者誘致を目的とした旅行フェア「ビジットジャパンFITフェア#16(第16回FITフェア)」を開催した。日タイの旅行会社や地方自治体など計108団体がブースを構え、訪日客の8割を占めるリピーターなどに地方の魅力や新しい体験を売り込んだ。来場者は3日間で5万2,000人を見込む。 今回のフェアは、「どんどん見つけよう、日本の魅力」をテーマに、日本側が67団体、タイ側が41団体出展した。JNTOによると、2024年1~9月の訪日タイ人旅行者は前年同期比20%増の約75万人。リピーターが多いタイ人に向け、なじみ深い観光地だけでなく、来場者それぞれの好みに合った体験プランや地方の隠れた魅力などを発信した。 後援する在タイ日本国大使館の大鷹正人大使はオープニングセレモニーで、「FITフェアは、リピーターの方にも満足してもらえるような日本の魅力を発信している世界最大規模の旅行イベント」とした上で、「新たな旅先を見つけ、日本滞在を満喫するための一助となることを願う」とあいさつした。 ■4割が5回以上の訪日経験 JNTOバンコク事務所の中杉元所長は、NNAの取材に対し「近年のイベントでは、リピーターを中心に地方の観光名所や今までにない体験を求めて、具体的な旅行プランを問い合わせるタイ人が増えている」と述べた。旅行需要の回復に伴い訪日客が増える中、5回以上日本を訪れるタイ人の割合が4割にも上っているという。 毎年日本を訪れているというタイ人女性(25)は、「東京は何度も行ったことがあるが、まだ訪れていないスポットが多くあると思う」とコメント。「FITフェアでは日本から来た団体のPRを直接聞けるので、情報収集にはうってつけ。地方も含めて新しい旅行先を見つけるのが楽しみだ」(同氏)と笑顔で語った。 タイ経済は低迷しているものの、円安の影響もあり富裕層はもちろん中間層の需要も拡大しており、今後も旺盛な訪日需要が続くとみられている。地方自治体にとっては、地域の魅力を訴求する絶好の機会となる。 中部・北陸9県の観光振興を図る中央日本総合観光機構は、4区画にわたる大型のブースを設置した。同機構マーケティング部担当部長の古川伸次氏は、「日本政府の地方誘客促進に伴い、中部・北陸地域では長野県松山市の上高地など、山岳景勝地の人気が高まっている」と話した。タイをはじめとした東南アジア圏の特徴としては、アジア圏のように温泉に入る文化はないため、冬場に高まる温泉需要の取り込みは難しいという。一方で、都会の喧騒(けんそう)から離れており、なおかつ外国人にとってはなじみのない自然豊かな場所にある旅館で、季節ごとの旬の食材を求める人が増えていると指摘した。個人のニーズにあった情報を積極的に伝えていくことが重要となるようだ。