ノムラID野球継承者が語る「使える新戦力」の見分け方
プロ野球史上初の無観客でのオープン戦が中盤に突入している。各球団のスコアラー陣がチェックするのは、新戦力の実力。そして各チーム共に、その新戦力の出来がペナントレースを左右することにもなる。ヤクルト、楽天を通じて、故・野村克也監督のID野球の薫陶を受けた新潟アルビレックスBCチーム強化アドバイザー兼総合コーチで、評論家活動を行っている橋上秀樹氏に、使える新人、新外国人の新戦力の見分け方を聞いた。
新外国人のOP戦データはあてにならない
各チームのキャンプ地に散っていたスコアラーからのこの時点での報告について橋上氏は、「実戦が始まっていない段階での新戦力の評価はまだない。客観的な印象と、シートノックなどで、どこのポジションを守っていたか、新戦力が入ることで、布陣がどう変わるかくらい。オープン戦が始まり、中盤、終盤あたりで、やっとデータが入ってくる」という。 同一リーグの対戦であれば、新人、新外国人の力量を試すこともできるが、故・野村監督は、プレ対決を重要視していなかったという。 「こちらの投手や野手に相手を試せるだけの力量があるのか、どうかという問題がある。オープン戦では、試してデータを取るよりも、自分のチームの調整を優先していた。野村監督も、この段階で新戦力に対しての変な先入観や固定観念を持ちたくないという考えだった」 故・野村監督は、スコアラー陣に対して、特に新外国人に関しては、「本番が始まらないとわからないので、今は細かいことはいらん。対戦してみてから感じたい。わからないところは色づけせず、色がついてないままの報告をくれ」と命じていたという。 橋上氏は、楽天、巨人、西武、ヤクルトのコーチ経験があり、様々な新戦力の成否を見てきた。結果を残した新戦力には共通点があった。成功の条件ともいえる。 「ドラフトで入ってきたルーキーでいえば、キャンプを通じて、しんどさを顕著に出さず、ケロっと1か月を過ごして体力的に強いなと思えることが第一条件。いわゆるプロでやる基礎体力だ。西武のコーチ時代には、源田がそうだった。1軍キャンプに抜擢されたが、あんなに細いのに疲れたそぶりをまったく見せない。”いつかバテるだろうから、その時は、源田だけ練習メニューを落とそう”と準備していたが、その必要もなく、キャンプ、オープン戦をほぼフルにやった。スカウトが見てポテンシャルがある選手がドラフトで入ってくる。そういう強さがあれば即戦力になる」 橋上氏は、その条件にあてはまる選手として、楽天のドラフト1位の小深田内野手を挙げた。。楽天は地元の佐々木朗希を1位指名したが、クジを外すと迷わず外れ1位で大阪ガスの社会人内野手を指名した。