咽頭結膜熱(プール熱)、佐賀県内感染者高止まり 昨年10月から12週連続で警報継続
アデノウイルスが原因で子どもを中心に発熱などを引き起こす「咽頭結膜熱(プール熱)」の佐賀県内の感染者数が高止まりしている。県は昨年10月、約10年ぶりに流行発生の警報を出しており、12週連続で発令が続いている。タオルの共用などで感染するため注意を促している。 県によると、12月18~24日に県内23の小児科の定点医療機関から報告された患者数が113人だった。前週(12月11~17日)から31人減ったが、定点当たりの患者報告数は4・91人と高止まりしたままだ。年齢別では9歳以下が108人と最も多く、10代が5人だった。 定点当たりの患者報告数が10月2~8日に3・39人となり、警報開始基準の3人を超えた。2013年6月10~16日以来、10年ぶりに発令した。その後も3~6人台で推移している。解除するには全体が1人を下回った上で、各保健所管内の報告数が前週を下回る必要がある。 年末年始の帰省で、子ども連れで温泉などに行く人も少なくないため、県では年末年始の休み明けの動向を注視している。 咽頭結膜熱の主な症状は、発熱、頭痛、のどの痛み、食欲不振に加え、結膜炎に伴う充血、眼痛などの目に症状が出るのも特徴。ウイルスの型によっては呼吸障害が進行して重篤になるため、抵抗力の弱い乳幼児、高齢者、基礎疾患のある人に注意するよう促す。 ワクチンや特効薬がないため、県健康福祉政策課は「トイレやおむつ交換後、食事前にしっかり手を洗ってほしい」と予防を呼びかける。(大田浩司) ■咽頭結膜熱 アデノウイルスが原因の小児の急性ウイルス感染症。せきなどでの飛まつ、タオルの共用が感染経路になる。通常、夏に流行がみられ、プールを介して流行することが多いため「プール熱」とも呼ばれる。日本水泳連盟などが昨年、「プールが危険かのような風評被害がある」などとして厚生労働省に「プール熱」の呼称を使わないよう陳情した。
大田浩司