ロケットカウルを装着した正統派4気筒カフェレーサー、バンディット400リミテッド
バンディット400リミテッドというバイクのことを語るとすれば、それは「ロケットカウル」という言葉から始めなければならないだろう。それほどこのバイクに装着されていたロケットカウルはインパクトが大きく、ネイキッドバイクブームに風穴をあける存在であったと言える。 【画像】バンディット400リミテッドのディテールや関連モデルをギャラリーで見る(16枚) 文/Webikeプラス 後藤秀之
「ロケットカウル」という呪縛
「ロケットカウル」それは元々は1970年代に生まれたバイクパーツのひとつで、当時のレーサーが装備していたカウルにライトを取り付けたものだ。ラベルダやノートン、ドゥカティなどのヨーロッパ車が装着し始めたが、当時の日本ではまだカウルが認可されておらず、ロケットカウルはアフターパーツとして普及した。 その代表格とも言えるのが「コミネカウル」であり、このコミネカウルをデザインした故・高橋矩彦氏は筆者の恩師の一人だ。正当なカフェレーサースタイルをイメージして作られたアフターパーツのロケットカウルだが、最もこれに反応したのは当時絶頂期を迎えつつあったいわゆる「暴走族」である。セパレートハンドルと同時に装着されることを前提にしていたロケットカウルを、彼らはアップハンドルのまま取り付けたため、カウルの装着位置が高くなるいわゆる暴走族スタイルが定着。派手なカラーリングを施したり、2段や3段に取り付けるといった日本の暴走族特有のスタイルへと発展していった。この手のバイクを見かけるたび、高橋氏が「俺はこんな使われ方をするためにコミネカウルをデザインしたんじゃない」とぼやいていたのが懐かしい。 と、まあ、ロケットカウルは日本においては少々独特の発展を見せ、1983年にRG250γでカウルが認可された以降、ヘッドライトは角形が主流になっていた。しかし、1985年にホンダから発売されたGB400TT Mk IIにはロケットカウルが装着されており、正当なカフェレーサースタイルを纏った数少ない生産車として注目を集めた。