27日、12年ぶりご開帳 国重文の薬師如来立像 薬師寺の本尊 三重・松阪
平安後期の作 江戸時代以降、辰年のみ実施
三重県松阪市嬉野一志町の養命山薬師寺(倉田健吾住職、檀家15軒)は27日午前10時から午後3時まで、平安時代に造られた国重要文化財の木造薬師如来立像を12年ぶりに特別公開する。小雨決行。
同寺は曹洞宗の古寺。奈良時代前期からあった一志廃寺が起源とされ、室町時代には伊勢国司・北畠氏がここで戦勝などを祈願したといわれている。 薬師如来立像はヒノキの寄せ木造りで像高95.5センチ。漆箔(しっぱく)、彫眼で、左手に薬壺(やっこ)を持ち、同寺の本尊として安置されている。作者は不明だが、平安時代後期の作とされる。1916(大正5)年に国の重要文化財に指定された。 現在は本堂の裏山に建てられた収蔵庫に安置され、12年ごとに公開される。開帳は江戸時代に始まったとされ、12年に1度の「たつ年」に行っているが、起源は分からない。 当日は、本堂奥にある収蔵庫の前にテントを張り、収蔵庫を開帳した状態で法要を行う。その後、参拝者らは中へ入り、自由に見学することができる。収蔵庫の中には奈良時代の7世紀後半の作とされる塼仏(せんぶつ)や、市指定文化財で南北朝時代の鰐口(わにぐち)も保管されており、同時に見ることができる。 一志自治会の安保吉人会長(66)は「12年に一度のご開帳なので、ぜひともお越しください」と話している。