全て歌うと十数分 「日本一長い」とされる諏訪清陵高の校歌 第1は8番、第2も10番 歌詞に込めた思い読み解く
■「日ロ戦争時の情勢を表す」 茅野で解説
「日本一長い」とされる諏訪清陵高校(諏訪市)の校歌についての講演会が10日、茅野市であった。同校を卒業後、国語教員として母校に勤めた当時から校歌を調べている武居美博さん(68)が登壇。作詞者で同市出身の中島喜久平(1883~1914年)が10番ある第2校歌に込めた思いについて、自身の研究を基に解説した。 【動画】「日本一長い」とされる諏訪清陵高の校歌
校歌制定から120年余
同校の校歌は第1校歌も8番まであり、全て歌うと十数分はかかるという。1903(明治36)年の校歌制定から120年、中島の生誕から140年が過ぎたことを受け、同校同窓会茅野支部が講演会を企画。同窓生約60人が耳を傾けた。
「怪鳥」をロシアに、「乱島」を日本に見立て
武居さんは、校歌が作られた時代背景について、武士の世が遠くなる中で1904年に開戦した日露戦争の前夜だったと指摘。第2校歌の4番にある歌詞「怪鳥(かいちょう)かけらふわたつみの中に碁布(きふ)せる乱島や」では、「怪鳥」をロシアに、「乱島」を日本だと見立て、「当時の国際情勢を表している」と説明した。
正気歌の影響
8番は、中国・南宋時代の忠臣として知られる文天祥が、「正気(せいき)」がみなぎるからこそ生き方を貫ける―として記した「正気歌(せいきのうた)」の影響を受けていると説明。風土に宿る正気である「精粋(せいすい)」の気を示す部分が歌詞にあるとした。
懇親会、手拍子で校歌斉唱
参加した卒業生の平沢英則さん(54)=茅野市=は「歌詞は覚えているが、これまで中身について聞くことはなく勉強になった」と笑顔だった。講演後に懇親会があり、参加した同窓生たちは手拍子をしながら校歌を斉唱した。